彦星は誰? ページ26
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花火が始まると、事前に買っておいたラムネで乾杯した。
暫くは、
「綺麗だねー!」とか「すごい!」とか
そんなことを言いながらはしゃいでいたけど、
急に無言になった。
横を向くと真剣な顔で花火を見る光くん。
鼻が高くて横顔が綺麗だった。
私の視線に気付いた彼は、こちらを向いて微笑む。
光「ねぇ、Aちゃん。」
A「なに?」
光「今日、浴衣着て、可愛くしてきてくれてありがとう。」
A「ん?ありがとう?」
光「Aちゃんって、相変わらず鈍感だね。」
A「鈍感?何が?」
光「ううん。何でもない。」
光くんは何か言おうとしたけど、やめたみたいだった。
花火が終わると、街は一気に静かになった。
明るかった空がまた暗闇に戻ると、光くんは遠くを指差す。
光「あれ天の川、見える?」
A「うん!見える。今日晴れてよかったな。」
光「Aちゃんは、小さい時に書いた願い事とか覚えてる?」
A「自分のは殆どわすれちゃった。でも雄也は訳のわからないことばっかり書いてた。」
光「小さい時の願い事って、口に出したり、短冊に書いたりするけど、大きくなったら願い事って人に話さなくなるよね。」
A「確かにそうかも!光くんは願い事あるんだね?」
光「うん。でも秘密。恥ずかしくて言えないや。」
そう言って照れ笑いした。
叶えばいいと思うことは、私だってあるけれど、
きっと叶わないだろう。
だからせめて、叶わない願いへの苦しみから解放されたい。
それが今の私の願い事。
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作者名:はー子 | 作成日時:2018年3月27日 22時