彦星は誰? ページ25
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光「ごめーん、遅れた!」
光くんは息を切らしながら待ち合わせ場所に現れた。
光「えっ!Aちゃん…。」
A「ん?どうしたの?」
光「浴衣…」
物凄いものを見たような顔をするから、私は不安になった。
A「え、変だった?」
光「いや、そんなことない!すっごく似合ってる!!可愛くて、見惚れちゃった。」
そう言って褒めてくれたから、上手く言葉を返せなくなった。
光「行こっか。」
優しく言ってくれた光くんは、いつもと違って少し大人っぽかった。
浴衣を着た私にスピードを合わせて歩いてくれたり、荷物を持ってくれたり、一つ一つの気遣いがとても嬉しかった。
光くんの彼女になる人は、きっとすごく大切にされるんだろうと思った。
A「そろそろ花火、始まるね。」
光「うん、俺いい場所知ってるからそこから見よ!!ちょっとついてきて。」
そう言うと、私の手を掴んで歩き出した。
光くんと手を繋いだのは初めてだったから、 不思議な気持ちになった。
A「すごい…。」
辿り着いたのは小高い空き地だった。
光「ここからだったら建物も邪魔しないし、綺麗に見えるよ。」
A「でも、よく知ってたね。いつ見つけたの?」
私が聞くと、光くんは遠くを見つめて言った。
光「言ってなかったけど俺、宮城に行く前はこっちに住んでたんだ。
事情があって途中からはおじいちゃん家がある宮城に行ったんだけど、また帰ってきた。」
初めて聞いた話だった。
A「そうだったんだ。」
それで有岡くんと知り合いなんだね。
と言おうとしたけど、
やめておいた。
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作者名:はー子 | 作成日時:2018年3月27日 22時