深く、沈む (ページ9)

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『 Aってほんと嘘下手だよね。』

いつの間にか煙を消してこちらを向いて優しく笑う辰哉。

『辰哉っていつから私のこと名前で呼ぶようになったの。』

「ねぇ、A。もう俺と会わない気？」

『質問の答えになってないと思うんだけど。』

なぜかその質問にはなんとなく答えたくなくて誤魔化して笑いながら言った。

「ねぇ、答えてよ。真剣に聞いてるんだけど。」

辰哉の目が見たことないくらい真剣で。はぐらかせないな、と
なんとなく直感して。

『私、一回寝た人と何も無かったことにして友達続けられるほど残念ながら器用じゃないんだよね。知ってると思うけど。』

「うん。知ってる。で？もう、会わないの？勝手すぎない？」

『別に友達なんて辰哉いくらでもいるでしょ。メッセージくらいするってば。電話もできる。でも会わない。』

「ねぇ、何にそんな意地になってんの、全然わかんない。」

『別に意地になってないし。』

「じゃあ言ってもいい？」

『なにをよ、』

「俺は、Aから離れないよ？ずっとそばにいる。」

『なに、私とそういう友達になろうって事？でも別にそれって永遠じゃないよね？辰哉に彼女が出来たら、好きな人が出来たら、終わりじゃんその関係。ずっとなんてない。』

「だから、Aが俺の彼女になればいいじゃん。」

『 …は？』