深く、沈む (ページ11)

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『私は、今、現時点で辰哉のことが好きかって言われたらわからない。でも、すごく大切な友達でなんでも私のことわかってくれてて素直になれる大切な存在なのは間違いない。
でも、こんな中途半端な気持ちで辰哉と向き合っていいのか私にはわからない。』

そうすると辰哉はぐっと私の方に近づいてきて肩を抱くと
クスッと笑ってメガネの奥の目を細めて。

「そんなこと気にしてんの？いいよそのままのAでくれば。俺のところに来たら絶対俺のものにするから。俺のこと絶対好きになるから。あんなクズ男よりもよっぽど俺のこと好きになるよ。」

『随分自信たっぷりなんだね。』

「まあ、俺モテるし。だから、そのまま来なよ。難しく考えすぎるのAの悪い癖だよ。辛いことからは逃げたらいいじゃん。別に誰にも迷惑かけてない。人にどう思われても良くない？俺はAの味方だよ？」

『 …恥ずかしくないの？そんなにつらつらキザなこと言って…』

「え？全然。だってそれで好きな子が手に入るなら安いもんじゃない？」

『ねぇ、辰哉。』

「なぁに。」

『こんなんだけど改めてよろしく。』

「かぁいい、勿論。」

そう言って私たちは深海の底みたいな綺麗な暗闇とそれを照らす月の中で口付けをした。