深く、沈む (ページ1)

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・Prologue ページ1

3年付き合った彼にサプライズしようと
いつものように残業で遅くなるとメッセージをし
定時で上がってプレゼントやケーキなんかを買い込んでなんでもない日なのに浮かれながら帰って行った家。

鍵をゆっくりと静かに開けて、ドアを開いた後に感じた違和感。

『誰の靴、』

見慣れないサイズの可愛らしいバレエシューズ。

リビングの電気がついていないことがこの先に待ち受けているものを簡単に想像させて震える手が止まらない。

一方でこんなドラマみたいなことがあるのかとどこか冷静な自分。

簡単に想像のついた先に待ち受けてたのは想像通りの様子で。

『 …何してんの湊』

自分でもびっくりするくらい無表情に低い声で問いかけると

一糸纏わぬ姿で驚く彼とその下にいる可愛らしいを体現したような女。

「 …A、なんで、遅いんじゃ、」

『論点そこじゃないでしょ。もういいや、別れよ。』

「え、いや、A！まって、」

彼の姿に全身の熱がスッと引く感覚がして、あぁ、もう無理だなって。

気付いたら家を飛び出していた。