岩本さんは、気づいてくれない。【黄】

決断 ページ8

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今年の桜はいつもより早咲きだった。


深澤先輩たちの卒業を祝うかのように、綺麗に咲く桜並木の下で照が先輩たちと話しているのを遠目で見ている私。


すると何かを察知したのか、突然あっちこっちを向いて最後にこっちをバッと見た佐久間先輩が「おーいっ！」と大きく手を振ってきた。


黒い筒を肩にポンポンとしてる深澤先輩が手招いてくれたので、おずおずとそちらによればコソッと言われる。





「俺、応援してるからね」

「はっ！？ え？」

「なに、どうした？」


急に慌てたはじめた私を怪訝そうに見下ろした照に、「なあんでもないよー」とヘラヘラしてる。


そしてパチンとウィンクなんてして、深澤先輩がモテる理由がなんとなく分かった気がした。




「あ、あの、先輩たち！ 仲良くしてくれて、ありがとうございましたっ。卒業おめでとうございます！」

「「「ありがとう！！」」」





照と2人、3年間通いつめたこの坂道を下っていく先輩たちを見送った。




寂しがり屋な照は、先輩たちが見えなくなると少しだけ瞳を潤ませていたけど気づいてないフリをした。

大丈夫だよ、私は君と一緒に卒業するから。寂しくさせないよ。









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「うーん」


高校3年生になって一月。

そろそろ世間は大型連休に向けて、何処に遊び行くやらの計画を立て始める時期だ。

私は特に毎年これといって何もない。

時々気が向けばおじいちゃんたちの家に帰るくらいの両親だし、今年は来年受験ってこともあるし勉強する時間に使おうと思った。

そこで頭に浮かんだのは、照は進路どうするんだろ？てこと。


クマさんの顔がついたシャーペンで何度も顎をツンツンしても埒が明かない。


「聞いたら、教えてくれるかな？」





A突然だけど、照って進路どうするの?

照○○大学行く


ぶっ。リスさんがグットサインしてるスタンプ送ってきた(笑)

ほんと可愛いもの好きだなぁ。



でも、そっか、照○○大学希望してるんだ。





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