六日目 ページ6
その後は普通に業務を終えた。野次馬精神を持つ事務員も、何を話したのかなんて聞いて来なかった。察しがいいのか悪いのか。
昨年やっと申請が通った寮に帰る。この寮も、あと一ヶ月もせずに出なくてはいけない。次の住居はどうしよう。塾に近いところがいいな、でも都心に近いのも捨て難い。
食事中も入浴中も、目を閉じるその時まで、新しい環境について考えていた。
この日、懐かしい夢を見た。
『ねえ聞いた？』
『ああ、鷹宮さんのこと？可哀想よねえ』
『違うのよ、鷹宮さんの方が不倫してたんですって』
『ええ！だから東さん、Aちゃんのこと連れて行かなかったの？』
『だってそうでしょ、自分の子供じゃないんだもの』
子供を迎えにきた、誰かの親。子供がまだ遊びたいなんていうから、隅に固まっている。私みたいだなって、その時は思っていた。聞こえてくる会話に、耳を傾けていた。
『Aちゃんも可哀想ねえ、鷹宮さんおかしくなったんでしょ？お母さんがあれじゃあ、ね』
『施設に入れられるって話よ。こんな事言いたく無いけど、ウチの子とは関わって欲しく無いわ』
『うちも。あの子の知能高すぎて、うちの子怖がってんの。頭良過ぎるのも気持ち悪いわよね』
お母さんの、悪口。不倫、おかしくなった、可哀想。全部、出鱈目だ。お母さんは不倫なんてしてなかった。母方の祖父母と私だけは信じていた。でもお母さん自身が、それを否定した。貴方だけが、真実を知っている人なのに。
貴方が否定したから、それが事実になった。裁判で、彼女はありもしない事を語られた。彼女も語った。それはお父さんがした事だ。私に暴言を吐いたのも、暴行をしたのも、冬にベランダに出されたのも、食事をさせてくれなかったのも、あの男だ。貴方はいつも私を守ってくれた。なのに、自分を守る事はできなかったらしい。
『みんな、今日からお友達になる鷹宮Aちゃんだ。みんなで挨拶をしよう』
『はじめまして！わたし、カナタっていうの、一緒にあそぼうよ！』
『おれ、ユーリ！外で鬼ごっこするんだ、一緒にやろう』
『いいの、私がいても？』
いつだって除け者にされてきた。頭が良いから、愛想が無いから、お母さんに遊んじゃダメって言われたからだって。両親の不倫云々で、それに拍車をかけた。親の悪意というのは、子供にだって分かるのだ。
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生茶(プロフ) - ゆるゆるなさん» ゆるゆるな様、作品をご覧いただきありがとうございます！不定期更新にはなりますが、読んでいただけたら幸いです。 (3月29日 0時) (
レス) id: cf05a2e5ca (このIDを非表示/違反報告)
ゆるゆるな - とても好きです！！これからの更新頑張ってください！ (3月28日 21時) (レス) id: cce9726ea8 (このIDを非表示/違反報告)
生茶(プロフ) - ゲリラさん» ゲリラ様、ご覧いただきありがとうございます！コメント、非常に励みになります。これからもどうかよろしくお願いします！ (3月28日 11時) (レス) id: cf05a2e5ca (このIDを非表示/違反報告)
ゲリラ - こんにちは‼️更新内容めちゃくちゃ良いです(^ - ^)これからも頑張ってください‼️ (3月28日 11時) (レス) @page4 id: 3562e297db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：生茶 | 作成日時：2024年3月26日 22時
