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side.ni
今日は有給をとっていた。街でぺ神とばったり会って、そのまま行動を共にしているとロボロから電話が掛かってきた。彼から掛けてくるなんて珍しいなんて思いながら耳に当てる。いつも挨拶から始めるのに、今回は違かった。焦った様子で、何だか騒がしい。彼のいるであろう通信屋特有の機械音が微かに聞こえる。
「なんやどうした？焦っとるみたいやけど」
《一二番倉庫の中で火が出とる！今発見したばっかりやけど、発火から十分くらいは経つ》
「一二番倉庫は今日男二人しかおらん、その二人はどこや」
たしかバイトリーダーの気弱そうな男と、最近入ってきた大学生の男だ。火事なら気づくはずだが、何をしているのだろうか。火事に気付いて逃げたとしても、何故報告しない？
《男なんて一人も見とらん、やけど人の足っぽいのなら見えんで。でも女っぽい》
「分かった、今ペ神と向かう。消火の準備は？」
《もうしとるよ、多分十分以内には着く》
分かった、と言って電話を切る。ペ神も話の内容を聞いていたのか、一二番倉庫までの道筋を確かめていた。しかし女？確かにいた気はするが、今日は休みと記憶している。まさか引っ張り出された？いや、そんなに急ぐ用事はないはず。
それに彼女も報告しないとは。ロボロが気づいてくれて良かったな。倉庫の在庫がすべて炭に変わるところだった。少しばかり言い聞かせた方がいいかもな、なんて考えていると、一二番倉庫へ着いた。
「……煙臭いな」
「タバコと同じでしょ」
「まあ…それより、もう入るぞ」
はいはいと気だるげに返事したペ神を無視して扉を開ける。夏の気温と同じくらい、もしくはそれ以上の暑さを顔に感じた。煙臭さも強くなり、火が燃える音も聞こえてくる。火はあまり回っていない様で安心した。発火元さえ消化すれば終わるだろう。
「人いるって言ってなかった？」
「ああ。でもこの煙の量や。下手に吸って倒れてるやろ」
「そうかもねえ、まあとりあえず進もう。火も小さいんだろ？」
今度はペ神が前に立って進んでいく。流石に煙は吸えないので屈みながら、ライトをつけて見回る。そうして半分と少しを見終わったとき、ペ神が顔を顰めた。何か見つけたのか、と聞こうとすると先に彼が話し始めた。
「おかしいな、火元に近づいているのに少し涼しくなってきた」
「……ああ、言われてみれば」
「火が消えたとしても、ここまではっきり感じないよ」
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作者名：生茶 | 作成日時：2023年10月29日 1時
