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夕食の時間の頃。
外から部屋の扉がノックされた。
ここに来てから数日こそ誰かが食事の度に迎えに来てくれていたが、それ以降は時間になれば各々で向かうようになっている。故にこの時間の来客はかなり稀だ。
珍しいお客様を迎えようと扉を開けると、そこにはエーミールさんが数冊の本を抱えて立っていた。
｢こんばんは、Aさん｣
｢エーミールさん、御機嫌よう｣
エーミールさんとは書庫などでたまに顔を合わせたときに言葉を交わす仲だ。
彼は人間界の書物や歴史にも関心があるらしく、書庫にある本に見覚えがあるものが多いのは彼の収集によるところが多いらしい。
と言っても私はいつも適当に本を数冊借りて部屋で読んでいるので書庫自体を隅々まで見たことは無く、どこまでの本が揃ってるのかは把握していないのだが。
｢チーノさんからAさんが本を探していたらしいことを先程お聞きしまして。 私のオススメになりますが良ければとお持ちしたんです｣
時間も丁度いいので一緒に夕食に向かいませんか？ と続ける彼から有難く本を受け取り同行の提案にも首を縦に振る。
近場の机に置く前にサッと本の題名に目を通すと中々興味を引かれる本ばかりだった。
ジャンルも良い具合に別れており、それぞれの面白さのベクトルに期待が出てきて今からでも読むのが楽しみだ。
同じく読む者として理解の幅が広いのかセンスに長けてるのか、どれにしても彼のこの本選びは流石と言える。
食事が終わって部屋に戻ったらさっそく読んでみよう。
｢ほな、行きましょうか｣
｢…ええ｣
当たり前のようにスッと差し出された手に ほう、と思いながら一瞬遅れて自分の手を重ねてエスコートを受ける。
少し間が空いたのは彼のその行動が意外だったからだ。
魔族にも人間と似たような身分差社会は存在する。それは魔王と幹部たちを見るだけでもよく分かっていた。
しかしこのように女性をエスコートするなどの社交礼儀は、私の見てきた限り魔族内では無かったはずだ。
現に他の方は基本やっていない。
いや、人間に興味のある彼のことだ。本来私が受けていた待遇を考えて合わせてくれたのだろうか。
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続く (更新停止中)
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rimu - 凄い好きな作品だ...！続き、発狂しながら待ってます！ (2022年4月8日 8時) (
レス) @page33 id: 8604b433e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼっち。 - 初コメ失礼します。今まで読んできた軍パロと一味違う感じで面白いです！！！ (2022年2月24日 18時) (レス) @page33 id: 4a3de4acde (このIDを非表示/違反報告)
冬霧 那恋(プロフ) - すごく面白かったです！妹ちゃんの行動とこの後の展開が気になります…！ (2021年12月5日 20時) (レス) @page32 id: 68a4198d15 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - もっとみたい、、比喩表現にﾛﾛﾛだけ気づかないの草 (2021年11月18日 16時) (レス) @page32 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
青い朱雀(すぐ告る奴) - 今日初めて見させていただいたのですが、姉妹の関係と気持ちの動き方がとても好きです。 (2021年11月16日 3時) (レス) @page31 id: e603c0dff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鉛咲き | 作成日時：2020年4月3日 20時
