29 ページ29
Aside
液体が入った2つの瓶があるとしよう。
1つは黄金色に輝く液体が入ったとても貴重な瓶。
中に入っているのは不老不死になれるほど凄い薬と仮定しよう。
そしてもう1つはどこまでもおどろおどろしい怪しげな液体の入った瓶。
中身の正体が何かは分からないが、少なくとも安全でないことだけはわかるもの。
さて、これらを前にしてあなたはこう言われる。
『黄金の瓶をあなたにあげましょう。
そのかわり、もう1つの方の瓶も貰って欲しい』 と。
2つの瓶をどうするかは自分次第。
黄金の瓶は飲んでも良いし、人にあげても良い。
怪しい瓶も同様。
一生使わないままでも良いし、どこかに捨てるのも構わない。
つまりその場で捨てても良いものを受け取るだけで、お金の価値が付けられないほど貴重な品を貰える。
この条件を提示されたとき、私はどう応えるだろうか。
…無論、受け取らないに決まってる。
うまい話には裏があるに違いない。
もし結果的に裏が無かったとしても、受け取る選択で負ったリスクが自身と身の回りにどう影響を及ぼすのか測れない状態で頷くことなど出来ないだろう。
以前の私ならば間違いなくそう考える。
…だけど今はどうにも変な気分なのだ。
後先考えることをやめてしまって、軽い気持ちで頷いてしまってもいいかもしれない。
そもそも質問を投げかけている者はどうしてその条件を提示したのだろうか。
本当に困ってしまって、どんなに大切な物を手放してしまっても良いほどに厄介な物を誰かに押し付けたいのか。
はたまた酔狂な考えの持ち主で、質問すべてに特に意味などは無く こちらの反応を面白おかしく伺っているだけなのか。
真相が何であろうと、イエスかノーかを選ぶことを悩まされることがどこか気に食わない。
イエスと応えたあとに、怪しい瓶の中身をその者にかけてでもみれば、何か面白いことになるのだろうか。
＊
ポンポンと肩を軽く叩かれる感触で目を覚ました。
｢Aさん、眠いならベッドで寝た方がいいと思いますよ｣
チーノさん…？
…そうか、寝てしまっていたのか。
少しくらい、困らせてみても良いだろうか。
｢すみません、今とても眠いんです…。｣
間接的に｢動きたくない｣と言えば、チーノさんは笑って｢それは仕方ないですね｣と言ってくれた。
その言葉を聞き、身体を持ち上げられるのを感じながら、私は再び眠りについた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 3103人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rimu - 凄い好きな作品だ...！続き、発狂しながら待ってます！ (2022年4月8日 8時) (
レス) @page33 id: 8604b433e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼっち。 - 初コメ失礼します。今まで読んできた軍パロと一味違う感じで面白いです！！！ (2022年2月24日 18時) (レス) @page33 id: 4a3de4acde (このIDを非表示/違反報告)
冬霧 那恋(プロフ) - すごく面白かったです！妹ちゃんの行動とこの後の展開が気になります…！ (2021年12月5日 20時) (レス) @page32 id: 68a4198d15 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - もっとみたい、、比喩表現にﾛﾛﾛだけ気づかないの草 (2021年11月18日 16時) (レス) @page32 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
青い朱雀(すぐ告る奴) - 今日初めて見させていただいたのですが、姉妹の関係と気持ちの動き方がとても好きです。 (2021年11月16日 3時) (レス) @page31 id: e603c0dff1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：鉛咲き | 作成日時：2020年4月3日 20時
