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｢…姉のことですが、紅茶が期待してた程美味しくなかったんです｣
｢…？｣
突然の切り出しにチーノさんから少々困惑している雰囲気を感じた。
だがそれにこれといった反応をすることも無く話を進める。
｢…愛情を込めながら茶葉に熱い湯を注ぎ、期待に胸を膨らませながら出来上がるのを待ちました｣
私は姉に敬愛を持っていた。
だがそれは沸騰したお湯ではなく、ぬるま湯くらいの穏やかな気持ちだ。
……煮えたぎっていたのは姉への期待…、姉の一挙手一投足への勝手な思い込みだ。
本来ならば 姉が王になった先、朽ちるその時までその思い込みは止まらなかっただろう。
…あの紅茶に出来上がりなどないのだ。
私は口を付けることなく、いつまでも期待で胸をいっぱいにしているだけ。
姉がカップに紅茶を注ぎ、私に差し出すまでは。
｢カップに注がれたお茶は鮮やかな色味で、とても香りが良いものでした｣
カップの中身がその紅茶だと知らないまま 私は口をつけた。
口をつけて…その紅茶だと知って、分かった。
｢でも飲んでみたら、それは普通の味だったんです｣
…特別なことも無ければ、明確な雑味があるわけでも無い。
香り高いだけの、普通の味。
普通の紅茶。
…飲んだことに対して後悔などない。
ただ期待はずれだっただけなのだから。
寧ろ、もっと早くに紅茶を注げばよかったと今なら思える。
口にするまで味が分からないだなんて、当然のことなのだから。
｢…お茶会の話、ですか？｣
私の髪を撫でるのを再開しながら話を聞いていたチーノさんが問いかけてきた。
返答はせずに、閉じていた目を開けて顔を見てみる。
そこには少しキョトンとしているチーノさんが。
その顔にただ優しく微笑み返して、再び目を閉じて身体を預けた。
彼なら分かっていても深追いはしてこないだろう。
なにせ彼はとても " お優しい " のだから。
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rimu - 凄い好きな作品だ...！続き、発狂しながら待ってます！ (2022年4月8日 8時) (
レス) @page33 id: 8604b433e3 (このIDを非表示/違反報告)
ぼっち。 - 初コメ失礼します。今まで読んできた軍パロと一味違う感じで面白いです！！！ (2022年2月24日 18時) (レス) @page33 id: 4a3de4acde (このIDを非表示/違反報告)
冬霧 那恋(プロフ) - すごく面白かったです！妹ちゃんの行動とこの後の展開が気になります…！ (2021年12月5日 20時) (レス) @page32 id: 68a4198d15 (このIDを非表示/違反報告)
トキ(プロフ) - もっとみたい、、比喩表現にﾛﾛﾛだけ気づかないの草 (2021年11月18日 16時) (レス) @page32 id: 44c169a7de (このIDを非表示/違反報告)
青い朱雀(すぐ告る奴) - 今日初めて見させていただいたのですが、姉妹の関係と気持ちの動き方がとても好きです。 (2021年11月16日 3時) (レス) @page31 id: e603c0dff1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鉛咲き | 作成日時：2020年4月3日 20時
