僕の友だちは心が読めない [白] (ページ2)

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いつから心が読めるようになったんだっけ。

気付いた時にはもう聞こえてた

【うわ。あしなが】

【本物だ～！！ラウールううう！！！】

今日も出待ちをしていたファンたちの横を通り過ぎて思う。

見ての通り、俺は心が読める。

俺のファンだからいいけど、時にはどす黒い感情も読めてしまう

あ、ほら。あのことか。あのこも。

【ラウールまじいらねぇ】

【なんでお前がセンターなんだよ】

中には鋭い眼差しを俺に向けるファンもいる。

俺の加入を認めてくれない。

俺の存在を認めてくれない。

｢はあ。｣

ふと自分の足元を眺めながらため息を吐く。

｢ラウール、大丈夫か｣

｢しんどい？｣

一緒に出てきて俺の横を歩くのは

めめこと、目黒蓮とあべちゃんこと阿部亮平

めめの奥からひょこっと顔を出すあべちゃんは

今日もあざとさ絶好調

snowmanのメンバーとすっごく優しくしてくれる

【ラウール、今日もキツそうだな。やだな、俺が好きな人が傷付くのは】

【ラウール～大丈夫か～、あ、俺の声も聞こえてるのかな。やっほ～あべちゃんだよ～早く車乗ろうね】

彼らの心の声はいつも暖かい。

めめの声にうるっと来ていたのに
あべちゃんのあざとさについ顔が緩んでしまう

送迎車に乗り込むと

｢ねね、俺の声聞こえてた？｣

嬉しそうに顔を近づけ目を輝かせてるあべちゃんが言う

｢いや、もうそりゃバッチリ。めめの声が優しくて泣きそうになってたのに、感動返してってくらい緩かった笑でも、ありがとう｣

俺がそう言うと

よかった～なんて嬉しそうにガッツポーズをするあべちゃん

｢うわ！また忘れてた、そうだわ、ラウールには俺の心分かるもんな、うわ、恥ずかし～｣

その横で頭を抱え、やっちまった～と耳を赤くするめめがいた

｢めめ、ありがとう。あべちゃんもめめも優しくて暖かいからさ。｣

｢喜んでくれたならいいわ。なんか俺、いいことした気分｣

｢そだラウ。着くまで音楽聴いてな？明日から学校だし、今日だけでもストレス少なくしときな？｣

あべちゃんはそう言って俺がいつも愛用してるヘッドホンを渡してくれた

俺が心の声から開放されるのは、音楽を聴いている時だけ。

｢うん。ありがとう｣

ヘッドホンを受け取り、お気に入りの音楽をかけて目を閉じる。

明日からまた、憂鬱な学校生活の始まりだ。