ほんのすこしの（YG） (ページ1)

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どうしようもなく疲れていた
人生にとか、そんなことを言いたいんじゃない。そんな重たいことは言わないし、言っていいのかもわからない。

ただただ体と体にに疲労が溜まっていっているのはわかっていて、今日それが爆発したような感じだった。

つかれた

そんな言葉を口にすれば、疲れは二乗されて、もう一度言えば二乗の二乗

ふと赤信号で立ち止まって、目の前を走っていく車たちを眺める。あと少し、足を進めたら体が車にぶつかる。
この背中に乗っかったおもさも、足につけられた枷も一瞬で楽になる方法が、目の前を流れていく。

ぱちりと瞬きを繰り返して、足に力を込める。一歩をすすめたら、危ない
それを判断する力は少しだけ残っているみたいで、深呼吸をする。
真昼間に事故を起こすところだった。
まだこの世にバイバイするには、たかだか疲れただけでは勿体ない
あそこのケーキも、カフェオレも、まだ食べたないし、飲んでない。あそこのバーだって、気になってまだ入れてないのに。
せめて、それをしてからにしよう。そこだけでもクリアーしていこう。それから考えよう。この世の中におさらばするのも、人に迷惑をかけるのも。

もう一度深呼吸をする。
カバンの持ち手をぎゅっと握りしめる。
まだこのカバンの中には書類が順番待ちで眠っているし、まだまだ営業が残ってる
かわいそうに底が擦れたパンプスを引きずって、青が灯った信号機を確認して一歩を進める。

歩きながら、インカムを耳につっこむ。
ぎゅ、と痛いくらいに押し込んで、Bluetoothで接続したスマホのスタートボタンを押す

1ヶ月前、今と同じように、いや、それよりも疲れ果ててた時に耳にした音楽は私をほんの少しだけ変えた。
あの日から少し、少しだけ。

作詞/作曲 SUGA

歌っている人とは違うらしい。あのお顔が綺麗な３人組とはまた別の、楽曲提供者

しゅが、そう口にすると少しだけ口元が緩む

どんな人なんだろう

そうやって思考を暗闇から引きずり出せば、ふわりと心が浮く。肩に乗せていた重力がほんの少し、気持ちちょっと軽くなった気がした。