scene93 未来の2人は…？ ページ9
今年もこの季節がやってきた。春の高校バレーの季節。
今年は何と言っても、愛知県代表星城高校男子に注目が集まる。今まで誰も成し遂げたことのない高校バレー史上初の２年連続3冠がかかっているからだ。
でも今の星城は向かうところ敵なしといった感じ。祐希くんを始めとした中心選手全員が高校トップクラスの力を持っていて、間違いなく優勝できる。
祐希くんからは、今年も見に来てと言われていて、そして「柳田さんも絶対連れてきて」と釘を刺された。
そして、星城高校は当然のように決勝戦まで勝ち上がってきた。決勝戦の試合前に会いたいと言われて関係者通路の入り口で彼を待っている。
扉が開くと、ユニフォーム姿の祐希くんが出てきた。
「A！と、柳田さん。呼び出してすみません」
「ううん、頑張ってね！客席から応援してる。」
「うん、ありがとう！」
彼はくしゃっと目を細めて笑った。
こんなにあどけない笑顔なのに、コートに立つと、まるで翼でも生えたかのように○ぶ。まるで別人のように。
「あの、柳田さん」
「ん？なに」
私の隣にいるマサに向けた視線は、ついさっきとは違って、真剣な眼差しへと変わった。
「俺、春から大学いきます」
「知ってる」
「中央大学です」
「そうなんだ」
「来月上京してきます。春季リーグから出てもらうって監督に言われました」
「そっか」
「これからよろしくお願いします」
祐希くんが右手を出すと、マサはその手を握ってよろしくと言った。二人の手が離れて間もなく「あと」と祐希くんが続ける。
「3冠達成したら、Aの事１日貸して下さいよ」
「……そんな約束できるかよ。悔しいけど、ぜったい3冠出来るだろうし」
「いいじゃないですか、いつも一緒にいるんだから、１日くらい貸してくれても」
私の事を貸してって…本人の意思は無視して会話が続いている。たまらず二人の会話に口を挟む。
「ちょっと、私は物じゃ無いからね？私は別にいいよ？１日祐希くんと遊びたいし！」
「ほら！」
「Aは黙ってて、今はそうゆう論点で話して無いから」
「…はい、すみません」
マサにぴしゃりと叱られて、しゅんと縮こまる。
「手は繋がないから！」
「当たり前だろ」
「でも場合によっては繋ぐかも」
「じゃあだめ」
「繋ぎません！」
テンポよく繰り広げられる会話。まだ知り合って間も無いとは思えない。
いつか二人が一緒にバレーをする事があったらいいコンビになりそうだな、なんて胸が熱くなった。
scene94 赤になる→←scene92 キミの夢を見ていた
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アキ(プロフ) - jp0b1qさん» コメント有難うございます！だらだら長くて、楽しんで頂けているのかな？と不安になりながらも続けていたので、そう言って頂いて本当に嬉しく、力になります！読むの疲れてしまうと思いますが、ぜひ最新話までよろしくお願いします！ (2017年6月25日 0時) (
レス) id: 5a1b3de531 (このIDを非表示/違反報告)
jp0b1q(プロフ) - はじめまして！キラキラ楽しませていただいております！姫ちゃんの決断に涙が(´;ω;｀)これだけの長編、大変だと思いますが、ぜひ、もっと続けていただきたいです！ (2017年6月23日 10時) (レス) id: 8ef0863dfa (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - みずきさん» 続き更新しましたっ！切ない展開になってしまいました(´；ω；`) まだまだ、2人を追いかけます！ (2016年10月19日 21時) (レス) id: 0fb2687632 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - AZUSAさん» コメントありがとうございます！二人には恋愛と同じくらい大事なものがある！二人の物語はまだ続きます！ (2016年10月19日 20時) (レス) id: 0fb2687632 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - さりーさん» コメントありがとうございます！！続き更新しましたのでぜひぜひ！また感想あればお願いします！ (2016年10月19日 20時) (レス) id: 0fb2687632 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アキ | 作成日時：2016年8月7日 20時
