scene105 私だけ見て�� ページ21
10分も掛からず、彼は居酒屋の入り口まで帰ってきて「ごめん、帰ろう」と呟いた。
「こら、柳田」
ミサキが、私の一歩前に出ると、絡むようにマサの前に立ちはだかる。まともな意見をするけど、実は完全に酔っ払っているのだ。
「ミサキちゃん…まじ酔っ払いじゃん」
「酔っ払いとは、失礼な。あのねぇ、お姫様の手離したら、すぐ攫われるよ？」
「…離してないから」
「これだから男は……あとはAとちゃんと話しなさい」
背中を押されてマサの前に立つと、ミサキはじゃあねと手を振りいなくなった。
「帰ろ」
歩き出して、まだ店の前に残る部員に声をかける彼の後ろを、一歩離れてついていく。
駅前のお店の光がなくなり、街灯だけの灯りになった頃「さっきの話」と少し立ち止まり振り返る。
「えっと…」
ミサキにちゃんと言えと言われたけれど、○ちゃんとは話さないで、面倒見ないで、仲良くしないで、なんて言えないし、どう話せばいいんだろう。
「マサ…」
「ん」
「どこも行かないでね」
「どうした急に」
今の私にはこの言葉が精一杯。
左手を掴まれ彼の方へ一歩引き寄せられる「ってゆーか、A指輪は？」掴んだ私の薬指を触った。
「あっ、バレーしてる時はこっちで…」私は胸元から服の中に隠れてしまっていたチェーンを引き出した。
そこに、マサから貰ったシルバーのリングを通している。
「ちゃんとつけといて。俺と一緒にいない時は特に。あと今日みたいなとき」
私の背後に回ってチェーンの留め具を外し、そこからリングを抜き取った。
また左手を取られ薬指にそれが収まる。
「…俺のお姫様って証拠だから」
なんだか真面目な顔で、そんなロマンチックな事言うもんだから、恥ずかしくて手元に視線を落として、思わず笑う。
上目で様子を確認すると、ちょうど目が合った彼は「なんだよ」とバツが悪そうに悪態をつく。
「ううん、ありがとっ王子様」
「…なんか、バカにしてる？」
「してないよ、マサが姫って言うから」
「Aのはあだ名だろ。俺のは完全に揶揄ってるようにしか聞こえない」
彼はぷいっと向きを変えると、自分の頭をぐしゃっと触り、歩き出してしまった。
揶揄ったつもりは無かったんだけど、お気に召さなかったみたい。
「ごめん、マサ。拗ねないで？」
「拗ねてねぇ」
何処にも行かないで、の返事はちゃんと言葉では聞けなかったけど、彼の仕草とか態度で充分伝わった気がした。
大丈夫
そう自分に言い聞かせる。
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アキ(プロフ) - jp0b1qさん» コメント有難うございます！だらだら長くて、楽しんで頂けているのかな？と不安になりながらも続けていたので、そう言って頂いて本当に嬉しく、力になります！読むの疲れてしまうと思いますが、ぜひ最新話までよろしくお願いします！ (2017年6月25日 0時) (
レス) id: 5a1b3de531 (このIDを非表示/違反報告)
jp0b1q(プロフ) - はじめまして！キラキラ楽しませていただいております！姫ちゃんの決断に涙が(´;ω;｀)これだけの長編、大変だと思いますが、ぜひ、もっと続けていただきたいです！ (2017年6月23日 10時) (レス) id: 8ef0863dfa (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - みずきさん» 続き更新しましたっ！切ない展開になってしまいました(´；ω；`) まだまだ、2人を追いかけます！ (2016年10月19日 21時) (レス) id: 0fb2687632 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - AZUSAさん» コメントありがとうございます！二人には恋愛と同じくらい大事なものがある！二人の物語はまだ続きます！ (2016年10月19日 20時) (レス) id: 0fb2687632 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - さりーさん» コメントありがとうございます！！続き更新しましたのでぜひぜひ！また感想あればお願いします！ (2016年10月19日 20時) (レス) id: 0fb2687632 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アキ | 作成日時：2016年8月7日 20時
