scene102 スカートひらり ページ18
2014年4月
大学に入ってから3回目の桜が、ひらひらと静かに舞い散る季節。
新入生も迎え、勧誘とか、練習に力が入るのはどの部活動もサークルも同じで、学内はちょっとしたお祭り騒ぎ。
この季節になると思い出すのはやっぱりあの時。体育館を覗き見してマサに話しかけられた春の日。
「あのー、すみません」
柔らかい声に呼び止められ、振り返る。
新入生だろうか。春の少しだけ暖かくなった風にふわりと長い髪がなびいた。少し大人っぽい雰囲気の、わたしより小柄な女の子。
「AA選手ですよね!?」
「あ、はい」
「あの、私、大ファンでっ!握手してください」
「はい」
私もいつも色白いねと言われるけど、それよりも白い手を握った。
「私もバレーボールやってた事あって、まぁでもこの通り。小さくて…応援してるので頑張って下さい!」
「はい、ありがとうございます」
可愛い女の子にもファンだとか言われと嬉しいなぁなんて、考えていると、彼女はひらりとスカートを翻して去っていく。
バレー部はというと、春季リーグも開幕し、昨日、一昨日と2試合をこなして、また週末の試合に向けて、練習も熱くなっているところだ。
隣のコートでスパイク練習をしている男子バレー部は、次は祐希くんがいる中央大学との試合を控えている。
どっちにも勝って欲しいから、なんだか複雑な気分だ。
マネージャーの女の子も一人増えたみたいで、熱心に先輩マネージャーから仕事内容を教わっているようだった。
「あれ、」
「ん?どうかした?」
ミサキとストレッチをしながら、目を向けた先に見覚えのある顔。
「あの子、今朝声掛けられた子だ」
「へー、そうなんだ」
「うん、ファンですって」
ちょうど休憩になったようで、その子がタオルを選手に配る。もちろんマサにも渡して、一言二言何か会話をすると、ふたりとも笑ってる。
「珍しいー、柳田くんが女の子と笑って話してるよ。普段はA以外の女の子に興味ありません!って感じなのに」
「そ、そうかな…?」
「気をつけなよ?きっとあの子もなんだかんだ柳田くん目当てかも。まぁ、柳田くんに限って大丈夫だと思うけどね。Aにメロメロだし」
「メロメロって…」
集合の合図が掛かって、そこから先はもう様子を伺うことは出来なくて。
ミサキは大丈夫だと言うけど、いつまでも子供っぽい私とは正反対の雰囲気のあの子が、私は気になって仕方なかった。
scene103 凛と咲く花→←scene101 月灯りに揺蕩う
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アキ(プロフ) - jp0b1qさん» コメント有難うございます!だらだら長くて、楽しんで頂けているのかな?と不安になりながらも続けていたので、そう言って頂いて本当に嬉しく、力になります!読むの疲れてしまうと思いますが、ぜひ最新話までよろしくお願いします! (2017年6月25日 0時) (レス) id: 5a1b3de531 (このIDを非表示/違反報告)
jp0b1q(プロフ) - はじめまして!キラキラ楽しませていただいております!姫ちゃんの決断に涙が(´;ω;`)これだけの長編、大変だと思いますが、ぜひ、もっと続けていただきたいです! (2017年6月23日 10時) (レス) id: 8ef0863dfa (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - みずきさん» 続き更新しましたっ!切ない展開になってしまいました(´;ω;`) まだまだ、2人を追いかけます! (2016年10月19日 21時) (レス) id: 0fb2687632 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - AZUSAさん» コメントありがとうございます!二人には恋愛と同じくらい大事なものがある!二人の物語はまだ続きます! (2016年10月19日 20時) (レス) id: 0fb2687632 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - さりーさん» コメントありがとうございます!!続き更新しましたのでぜひぜひ!また感想あればお願いします! (2016年10月19日 20時) (レス) id: 0fb2687632 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アキ | 作成日時:2016年8月7日 20時