涙の数：１４ ページ16
Aside
足の速い天月くんとそらるくんに一生懸命ついていく。
二人とも中学の頃は野球部と空手部のエースで物凄く鍛えていたから、正直一般的な女子の私が追いつける筈もなくて。
でもこのときは、なぜか遅れをとらずについていけた。
二人が私に合わせてくれたのか、それとも火事場の馬鹿力なのか。
そんなことかんがえる暇もなく、私達は保健室に転がり込んだ。
「まっ、まふくん！！」
奥のベッドに、見慣れた青色の上履きがそろえて並べてあった。
天月くんと一緒にすぐにかけよると、真っ白のシーツにくるまった彼が、静かに眼を閉じていて。
「Aさん…さっき授業中に倒れて、ずっとこのままなんです」
目を伏せたスズムくんが言った。
一体何を溜め込んでいたのだろう、朝は元気だったのに。
「…坂上さん、相川くんのお友達なの？」
そのとき、後ろから声をかけられた。この声はきっと、保健室の先生だ。
「先生…っまふくんは」
「相川くん、ご飯も全然食べてないし夜も寝てないみたいで…栄養失調から来る体調不良で倒れちゃったみたいなの。お家もお留守だし…何かしらない？」
「両親は共働きだからだと思うんですけど。他はなにも…聞いてない、です」
ご飯、食べてなかったんだ。夜も寝てなかったんだ。
そんなの知らなかった。気付かなかった。
去年は保険委員だったから、よく保健室にお邪魔していた。
だからよくこういう場面は見て来た筈…なんだけど。
友達が倒れちゃう、って。結構辛いんだね。
「まふくん…」
そっと手を握る。
久しぶりに触れたかすかに温かい真っ白な手は、前見たときより骨張っていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 112人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「歌い手」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちあこ(プロフ) - S姫さん» コメントありがとうございます！！！かわいいですよね泣き虫まふ君ｗ これからも更新頑張りますね！ (2014年9月11日 0時) (
レス) id: 396c214124 (このIDを非表示/違反報告)
S姫(プロフ) - 泣き虫まふさん可愛過ぎるっ…////これからも楽しみにしております！更新頑張ってください！！ (2014年9月10日 18時) (レス) id: 4615c7fcb4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちあこ | 作成日時：2014年9月6日 16時
