【ハイキュー!!】烏、鳴き方がわからない【男主】

第 ７ 球 ページ10

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"声が出ない"







何度、それに怒りを覚えたことか。









一番虚しくなる時



声、

特に笑い声を聞くときだ








虚しくて

虚しくて、






何度も

何度も


声を出そうとした








でも出なかった









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今日








体育館に行くと

西谷は大声で「ちわっす！」と挨拶をしていた








先輩もそれに答えてた









いいなぁ、声。









そして妬ましい




俺もそんな挨拶してみたい、と

妬む自分がいる









そんなこと無理なのは分かっているのに

どうしていつも思うんだろう









そんなことを思っていると

一年が近づいて来て




挨拶したほうがいい。と小声で言った









わかってる

でも出来ないんだよ。









声が出ないから。









でも、俺にも声以外に

人に自分の意思を伝える方法はある









今は、このスケッチブックがそのための道具。









家にはもう沢山溜まっている









16年間分の言葉




16年間

俺が発することができなかった言葉








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___キューッキュッ、_____







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マジックペンが擦れる音と共に



今日も

また一言、スケッチブックに言葉が増えた






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『［ちわっス］』






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たった四文字の


発してもすぐ消えてしまう言葉に








一瞬ポカンとする周り









これも

いつもいつも見てきた









そして先輩も一年も笑った




変なやつだ、と

喋ろよ、と









知らずに笑っていることはわかっている









でも









『……………………、…』









一瞬、歯を食いしばった









周りからの笑い声が



うらやましい









うらやましい







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『……っ、…__________』








声が、うらやましい。








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今日、

俺の中の一匹の烏は何を思う






烏よ









烏









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『………………………』








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そう、問いかけても烏は鳴かない









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『____________……………』









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烏は、鳴き方がわからないから

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