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里志「入部届じゃないか！」
「驚いたな、どういった心境の変化だい？2人がまさか部活動に入るなんて」
「・・・古典部？」
『知ってる？』
里志「もちろんさ。だけどなんだって二人が古典？Aはわかるけどホータローは？突然国学にも目覚めたかい」
奉太郎は頭をかいた後、ポケットから便箋を出しそれを里志に渡す。
素直に受け取った里志はそれに目を通す。
里志は案の定、声をあげて笑った。
里志「はは、ホータロー、これは困ったね」
「お姉さんの頼みか、これは断れない。Aは？」
『奉太郎のそばにいた・・・！別にいいでしょ』
本音が出てしまった。
里志「はは、今日も熱いね」
里志はまた声をあげて笑った。
私はそれをスルーし、便箋に目を向ける。
【奉太郎、姉の青春の場、古典部を守りなさい】
奉太郎のお姉様＿＿＿供恵お姉様からの手紙はいつだって奉太郎の生活を狂わせる。
お姉様の思い出を守る義理なんか奉太郎にはない。
だが＿＿。
里志「お姉さんの特技は何だっけ？柔術？」
奉太郎「合気道と逮捕術。痛くしようと思えば、かなり痛い」
そう、日本をまたにかけるだけでは飽き足らず世界に飛び出したお姉様は、文武両道のハイパー女子大生。
逆鱗に触れるのはまずい。
『今朝、届を出してきたの』
里志「わからないもんだね、二人がさ」
里志はしばらく手紙を眺めていた。
私と奉太郎の口からは溜息が漏れる。
奉太郎「ま、メリットはなさそうだがな」
里志「いやあ、そうでもないと思うよ」
手紙から顔を上げたサトシが妙に明るい声になった。
里志「古典部の部員はいないんだよね」
「なら、古典部の部室は二人占めじゃないか」
奉太郎「！」
奉太郎は少しばかり顔が明るくなる。
奉太郎「まあ悪くない。行くぞ、A」
里志「それがいい。ものはためしだ」
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作者名：名稀ーなきー | 作成日時：2023年3月20日 23時
