2日目 だからいま、私たちが走るべき方向は ページ19
Aside
SNSに投稿された写真を頼りに、私たちは電車に乗ったり下りたりを繰り返し、ダイジンの足取りを追い続けた。
しかし写真の場所に辿りつく頃には別の場所の写真が投稿されていると云った具合で、これではきりがないのだった。
さりとて現状だと他の手掛かりもなく、今は二時間前に投稿された写真の場所に私たちは向かっている。
ダイジンがみかん畑でしなを作っている写真の投稿。
この山道を登った先が、その農園のはずなのだ。
「『・・！』」
背後から、バイクの音が聞こえてくる。
『草太！』
私は慌てて声を掛け、数メートル先を歩いている椅子へと走り、背中から持ち上げた。
間一髪、椅子を持った私の脇を原付バイクが走り抜けていく。
鈴芽「見られなかったですよね」
『うん』
草太「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
『草太には危機感が足りないよ』
＿＿＿と、坂の上からガタン！と何かが落ちたような音と、キキィッというブレーキ音が響いた。
続けて「やばっ」という女性の声がかすかに耳に届く。
『ん？』
鈴芽「ええ！？」
狭い坂道を、大量のみかんがゴロゴロと転がり落ちてくる。
さっき通り過ぎたバイクの荷台に大きな箱が積まれていたことを私は思い出す。
鈴芽「ええ！」
立ちつくしてしまう私の体から、とっさに草太が飛び降りた。
道路脇の畑にあった防獣ネットを脚にひっかけ、Uターンして戻ってくる。
草太「A！こっち！鈴芽さん！そっちおさえて！」
「『あ、うん！』」
草太がネットを引きづったまま鈴芽ちゃんの前を通り過ぎ、私たちは道の両端でネットを広げる格好になる。
と、ほとんど同時にみかんたちがドドドッと網に収まった。
「・・・嘘じゃろうっ！？」
鈴芽ちゃんと顔を上げると、坂の上でヘルメットを被った女の子が私たちを呆然と見下ろしていた。
草太が今さら無機物のふりをして、コトンと私の足元に倒れる。
転がってきたみかんを一つ残らず、私たちはキャッチすることに成功したのだった。
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名稀ーなきー(プロフ) - RENAさん» ありがとうございます(_ _)更新頻度は低いですが、この作品を読んでくれると嬉しいです！ (2023年2月5日 22時) (
レス) id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
RENA(プロフ) - 今日、映画を見に行き全てにほれて夢小説で探しました。とてもおもしろかったです．そしてキュンッとしました (2023年2月5日 22時) (レス) @page47 id: a8ec99ccfe (このIDを非表示/違反報告)
名稀ーなきー(プロフ) - レナさん» コメントありがとうございます！頑張ります(ง •̀_•́)ง次の更新をお待ちくださいm(_ _)m (2022年11月25日 21時) (レス) id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 好きです。 自分のペースで頑張って下さい。 (2022年11月25日 21時) (レス) @page27 id: d245eefcba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名稀ーなきー | 作成日時：2022年11月20日 15時
