1日目 さあ始まるよと、皆がささやく ページ14
Aside
フェリーのエントランスを抜けると、そこは自動販売機の並ぶロビーだった。
長距離トラックのおじさんたちが慣れた様子で丸テーブルに腰掛け、さっそくビールなんかを開けている。
「さっきの見たと？」
「みた！みた！なんじゃったっちゃろね？」
「猫じゃねーとや？」
「いやなんか、椅子のごとあるもんが走っちょってよ」
「おもちゃやろ」
「ドローンのごとある。よく出来とったわあ」
もう噂になってる・・・
そんなことを思いながら私たちは部屋の隅々に目を走らせながら、草太たちの姿を探してロビーを小走りに通過する。
道なりに階段を昇り、まばらに乗客の座った客室を抜け、もう一度階段を昇ると、そこは海に面したフェリーの外廊下だった。
鈴芽「どこ行ったのよ、まったく！」
そんなことを叫びながら私たちは探した。
細い廊下を駆け抜けると、そこは広々とした吹きさらしの後部デッキだった。
『あ』 鈴芽「ああっ！」
いた。デッキの真ん中で強い潮風を受けながら、仔猫と子供椅子が2メートル距離を挟んでにらみ合っている。
まるでポ〇モンバトルのようだ。
草太「なぜ逃げる！？」
草太が怒鳴り、詰め寄った。
その距離分、白猫は後ずさる。
草太「俺の体に何をした！？お前は何だ！？」
無言のままじっと、白猫は後退していく。でも薄炉は作、その下は海だ。
草太「答えろっ！」
椅子がぐっと脚を折り、勢いをつけて白猫にとびかかった。
猫はひらりとすり抜け、フェリーの最後部に立っている細長いレーダーマストを駆け上っていく。
私達は草太に駆け寄り、並んでマストを見上げる。
15メートルほどの高さのマストのてっぺんに、白猫はちょこんと座っている。
「すーずめ、A。またねっ」
幼い声が跳ねるように言い、白猫はマストから飛び降り、後ろから高速でやってきた警備艇にすとんと落ちる。
私達は呆然とその後ろ姿を見送った。
しばらくしてから後ろを振り返ると、先程までいた町の海岸線はずいぶんと遠かった。
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名稀ーなきー(プロフ) - RENAさん» ありがとうございます(_ _)更新頻度は低いですが、この作品を読んでくれると嬉しいです！ (2023年2月5日 22時) (
レス) id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
RENA(プロフ) - 今日、映画を見に行き全てにほれて夢小説で探しました。とてもおもしろかったです．そしてキュンッとしました (2023年2月5日 22時) (レス) @page47 id: a8ec99ccfe (このIDを非表示/違反報告)
名稀ーなきー(プロフ) - レナさん» コメントありがとうございます！頑張ります(ง •̀_•́)ง次の更新をお待ちくださいm(_ _)m (2022年11月25日 21時) (レス) id: abcac44663 (このIDを非表示/違反報告)
レナ - 好きです。 自分のペースで頑張って下さい。 (2022年11月25日 21時) (レス) @page27 id: d245eefcba (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：名稀ーなきー | 作成日時：2022年11月20日 15時
