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健は子どもの頃と全く変わらない、愛くるしい顔で下衆に笑った。
「つまりさ、このままいけば、みんなでまた暮らせるんじゃないかって思うんだ」
「オメー、それは楽観的すぎだろ」
剛がすかさず横槍を入れる。健は赤い月明かりに照らされてまた笑う。
「あのね、今回の木星渡航で俺たちの貯金がすっからかんなの。だからまず働こ。そいでいい感じにお金が貯まったら、坂本くんがまだいるかもしれない地球へ行こう。坂本くんにもし会えたらそのまま研究所へ戻って、長野くんを複製する。どう、この作戦？」
「それからは？どーすんの？」
剛がにやっとした。健はボロボロのパジャマの裾を弄りながら、楽しそうに言った。
「それからは、六人で地球で暮らしたい。岡田が十年住んでたんだから、一応住める環境なんでしょ。それで、六人で協力して東京をまた元の美しい街に戻そう。戦争も貧困もない美しい街にしよう」
井ノ原の乾いた頬に風が当たる。また新しい一日が始まろうとしている。
「健、お前・・・いくつになった？」
「にじゅーいち」
「そっか・・・あんなちょこまかしてたガキンチョがこんなに立派んなって、俺、チョット感慨深いわ」
すると健は溜めていた想いを吐き出すかのように、口を真一文字に結んだままボタボタと大粒の涙をこぼし始めた。剛は寝そべりながら「ええ〜」とだみ声で笑う。健は細い腕で顔を拭きながら、「井ノ原くーん」と子犬のような声を出した。
「あーほらほら、やっぱりこれが健だよな。全然泣かないんだもん、俺のこと忘れちゃったのかと思ったよ」
「忘れるわけねーだろバカぁ」
「あーあ、折角我慢してたのに」
剛は知った顔で楽しそうにケラケラ笑った。井ノ原は痩せた健の身体をひっしりと抱きしめてやった。
「俺探すためにこんなところでずっと働いてたんだろ？ありがとうな」
「ちがうーっ、もう、俺井ノ原くんにもう二度と会えないと思ってたから」
「それは俺もだって」
「だってこんなに痩せちゃってさー！木星のバラック着いた時、ゾッとしたもん。みんながりがりで、目だけ窪んで、青白くてビョーキみたいで・・・」
「俺、そー見える？」
「見えるよバカあ」
岡田は胸に手を当てる。こころがぽかぽかと温まってゆく。岡田はずっと、こんな日が来るのを待ち続けていた気がした。大好きな人達が、こうやってまた幸せをはぐくんでほしいのだ。
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Mao(プロフ) - ふきさん» そちらも被災地だったのですね;< お互いがんばりましょう;< (2018年9月13日 2時) (
レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 更新で、嬉しく飛んできたのですが！日常生活は、大丈夫なのでしょうか？お見舞申し上げます。御家族、皆様お怪我ありませんか？こちらは関西なので土砂災害が酷い地域もありますが、どうぞ無理せずお過ごし下さい。 (2018年9月10日 1時) (レス) id: c8a9c28ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - 亮真さん» ありがとうございます！キムチは放送後すぐ書きました笑 書かなければならない気がして...笑 (2018年9月10日 1時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
亮真 - 一気に読ませていただきました！めちゃくちゃ面白いです。個人的に。健くんのキムチのシーンが忘れられません笑楽しく読ませていただきました！これからも頑張ってください！ (2018年9月7日 22時) (レス) id: 01b213f1ed (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ぴとで☆さん» 古い曲ですが名曲です！コメントありがとうございます。遅筆で申し訳ないです！ (2018年8月10日 1時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mao | 作成日時：2018年8月3日 21時
