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日本は中国と核戦争の真っ只中だった。しかし細かい話は割愛する。というのも井ノ原は学校へ行っておらず、戦争がなんなのか未だによく分かっていないからだ。
戦争になると国がいくらか貧乏になるので、国民も貧乏になる。井ノ原は子供の頃親に捨てられ、たまたま気分転換に外へ出ていた若い長野に拾われた。
「戦争はやだね」
長野の横でプログラムのバグ処理を延々とやっていた井ノ原に、長野はぽつりと言った。
「やだね〜。配給は減るし、腹は減るし」
「補助金は出ねえし」
井ノ原に乗っかり、白衣に着替えた坂本もぼやく。
長野が国家規定科学者に認定されていたのはとうに七年も前の話だった。当初は国からの研究助成金も出ていたが、最近はすっかりAIの研究をやめてしまったので、その金も支給されなくなったのだ。
「ねえ長野くん、それの傍らでさ、副業として、AIの研究やればいいんじゃない？そしたらいくらか貰えるでしょ」
「だめだよ井ノ原。岡田はもう完成したんだ。俺がもうAIをやる意味が無い」
「そーだね」
軽く同意する坂本に、井ノ原は「ちょっと坂本くん、どっちの味方？」と思わす突っ込む。
「ねー、そうだよね、岡田」
長野はそう言うと、人懐っこい笑顔で振り返った。コーヒーの匂いがする。井ノ原が振り返ると、小さなお盆に湯気の立つ不揃いのマグカップを三つ乗せた岡田が、てくてく歩いてくるところだった。
「何の話？はい、コーヒー入れたよ」
「ありがとう」
「サンキュー岡田」
岡田は冷たい手で、三人にコーヒーを手渡していく。坂本は感心したように、「お前、ホントに毎日きっかり3時に入れるなあ」と言った。
「うん、だって、朝の8時、昼3時、夜9時に三人分の苦味の少ないブラックコーヒー入れるって、プログラミングされてるからね。長野くんがそうしちゃったんだもん」
「それ、岡田の意志で変えられないの？」
「変えられないよ。俺に意志はプログラミングされてないから」
「岡田は意志、ほしい？」
「ほしくないよ、意志がないから」
「あ、そっか」
坂本はまだ熱いコーヒーをすする。今年で九歳になる岡田は、長野の趣味なのかやけに大人びた口調で話す。
「ただいまー！ねえ、地面から湯気出てんだけど！」
研究室から程遠い玄関から、きらきらと輝く大きな声がする。ばたばたと廊下を走る音と一緒に、二筋の希望のひかりが暗い研究所を照らしていく。
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Mao(プロフ) - ふきさん» そちらも被災地だったのですね;< お互いがんばりましょう;< (2018年9月13日 2時) (
レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 更新で、嬉しく飛んできたのですが！日常生活は、大丈夫なのでしょうか？お見舞申し上げます。御家族、皆様お怪我ありませんか？こちらは関西なので土砂災害が酷い地域もありますが、どうぞ無理せずお過ごし下さい。 (2018年9月10日 1時) (レス) id: c8a9c28ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - 亮真さん» ありがとうございます！キムチは放送後すぐ書きました笑 書かなければならない気がして...笑 (2018年9月10日 1時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
亮真 - 一気に読ませていただきました！めちゃくちゃ面白いです。個人的に。健くんのキムチのシーンが忘れられません笑楽しく読ませていただきました！これからも頑張ってください！ (2018年9月7日 22時) (レス) id: 01b213f1ed (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ぴとで☆さん» 古い曲ですが名曲です！コメントありがとうございます。遅筆で申し訳ないです！ (2018年8月10日 1時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mao | 作成日時：2018年8月3日 21時
