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剛は空が青くなってから出かける。この仕事は稼ぎがめっぽう良く、『火星疎開保険』が切れた今でも、剛と健があの部屋に住み続けることが出来るほどの給料を得ることが出来る。
剛は仕事の前に客と飯に行くという、心底面倒臭く一文の稼ぎにもならない用事を済ませねばならないことに苛立ちを抑えきれなかった。ふと目線を動かすと、がりがりに痩せた子供や、故障して捨てられた非正規AIロボットなどが町中をうろうろしている。いつかラジオでやっていたが、火星にいる人間は平均的にイライラしていて、ロボットはすぐ壊れてしまうらしい。
「それって何でだか知ってる？ミチオくん」
「え？」
剛はさほどよく客の話を聞いていなかったが、聞いていたふうに聞き返す。
「分かんない。なんで？」
「火星の空気って、人間が住めるように無理やり酸素や窒素を加えてあるでしょ？そういう無理に環境を変化させた、まあ言うならば��いびつな空間��にいると、ロボットっていうのは耐えられずに壊れちゃうらしいね」
「ふうん」
剛は味のしない鱒寿司を食べながら、頬杖をついて店内の装飾に目をやった。客が笑いながら「ちょっとミチオくん、聞いてる？」と言うと、剛はふと意地悪なことを言う気になった。
「じゃーそれってさ、人間の肉体だったらどーなんの？」
「え？」
「脳ミソがAIで、カラダが人間のやつは、火星で生きられんのって聞いてんの」
客は誤魔化したように笑い、「そんなロボット居ないよ」と言った。剛はビールにはまったく手をつけず、一点を見つめたまま「いるよ」と言う。
「い、いないよ。ミチオくん、そんなロボット見たことあるの？」
剛は、テーブルの下で客が手を剛の手に近付けてきていることに気がついていた。剛がぐっと拳を握ると、客はその丸い手の上に自分の手を重ねた。
「・・・ないけどさ」
「あっはは。ミチオくんは本当に不思議な子だよね。まあそこがいいんだけど。ほら、どんどん食べな」
「ねえ、もういい。それより・・・」
剛は熱い視線を客に送った。客はごくりと唾を飲み込む。剛は自分で言うのもなんだが、��緩急��を付けるのが上手いと思っている。客の性格や嗜好に合わせて、自分の魅せ方を自由自在に変えられる。健いわく、「天性のもの」らしい。
剛はこの仕事一本で十年間、何千万という額を稼いでいる。火星という名ばかりのユートピアで生きるため、二十一年目の若い肉体と精神を細切れに使う。
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Mao(プロフ) - ふきさん» そちらも被災地だったのですね;< お互いがんばりましょう;< (2018年9月13日 2時) (
レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 更新で、嬉しく飛んできたのですが！日常生活は、大丈夫なのでしょうか？お見舞申し上げます。御家族、皆様お怪我ありませんか？こちらは関西なので土砂災害が酷い地域もありますが、どうぞ無理せずお過ごし下さい。 (2018年9月10日 1時) (レス) id: c8a9c28ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - 亮真さん» ありがとうございます！キムチは放送後すぐ書きました笑 書かなければならない気がして...笑 (2018年9月10日 1時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
亮真 - 一気に読ませていただきました！めちゃくちゃ面白いです。個人的に。健くんのキムチのシーンが忘れられません笑楽しく読ませていただきました！これからも頑張ってください！ (2018年9月7日 22時) (レス) id: 01b213f1ed (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ぴとで☆さん» 古い曲ですが名曲です！コメントありがとうございます。遅筆で申し訳ないです！ (2018年8月10日 1時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mao | 作成日時：2018年8月3日 21時
