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岡田は長野がプログラミングした1日のスケジュールを、毎日欠かさずこなさなければならない。坂本の朝食を少し頂戴するのも、昼3時のコーヒーも、岡田は毎日ちゃんとこなした。五人がいない研究所で、見えない五人と生活していた。そうして十年が経った。
岡田はある日外へ出て、空気を吸い込んだ。鼻の中に細かい砂が入る。そこで改めて自分は他のAIとは違うのだと感じた。自分は呼吸のできる、元人間のAI。長野が作ってくれた奇跡の個体なのだと。
人っ子一人いない荒廃した灰色の街。少し歩くと簡素な火葬場が姿を現した。十年前、遠いどこかの中立国が建ててくれたものだった。焼け野原になったこの街に、もう焼くものなど残っていないように思うが。
岡田は目を閉じて追憶するーー。
すべてが変わってしまったあの日ーー岡田は夜中に物音で目を覚ました。その足音で、坂本が研究所を走り回っているのが分かった。隣で眠る剛健を起こさないように部屋を出ると、夜中だというのに研究所内の電気がすべて付いているのに気がついた。研究室に入ると、白衣姿のままの長野と坂本がいた。
『ああ、岡田、起こしちゃったね』
その時の長野の顔を岡田は鮮明に覚えている。笑ってはいるが顔面蒼白で、ひどく具合が悪そうだった。岡田が長野に話しかけようとした瞬間、坂本が切羽詰まったように言った。
『岡田、長野を病院に連れて行ってくれないか？』
「病院？」
『胸が苦しいんだって。狭心症の初期症状に近いんだ。放っておくと危険だ』
「分かった。長野くん大丈夫？」
長野は椅子に座ったまま力なく笑い、「うん。ごめんねこんな夜に」と言った。
「坂本くんは？来ないの？」
『俺は井ノ原達を起こしてシェルターまで連れていかないといけない』
「シェルター？」
坂本は深く頷いて岡田の目をじっと見た。
『軍のラジオの回線がハッキングされている。さっきまで突然切れたり、韓国のラジオ局の番組が流れたりしてたんだ。これは明らかに他の国の妨害だ。日本軍の暗号を解いた証拠さ。必ず数時間後には空襲が来る』
坂本は遠くを見るように言った。
『病院には必ず対核シェルターがある。岡田は長野とそこへ隠れていろ。病院だから何があってもきっと大丈夫だから』
「・・・」
岡田は全身に稲妻のようなものが走ったような気がした。それが何なのかは分からない。しかしなぜか、これからもう二度と坂本と会えなくなるような気がしたのだ。
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Mao(プロフ) - ふきさん» そちらも被災地だったのですね;< お互いがんばりましょう;< (2018年9月13日 2時) (
レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 更新で、嬉しく飛んできたのですが！日常生活は、大丈夫なのでしょうか？お見舞申し上げます。御家族、皆様お怪我ありませんか？こちらは関西なので土砂災害が酷い地域もありますが、どうぞ無理せずお過ごし下さい。 (2018年9月10日 1時) (レス) id: c8a9c28ea5 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - 亮真さん» ありがとうございます！キムチは放送後すぐ書きました笑 書かなければならない気がして...笑 (2018年9月10日 1時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
亮真 - 一気に読ませていただきました！めちゃくちゃ面白いです。個人的に。健くんのキムチのシーンが忘れられません笑楽しく読ませていただきました！これからも頑張ってください！ (2018年9月7日 22時) (レス) id: 01b213f1ed (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ぴとで☆さん» 古い曲ですが名曲です！コメントありがとうございます。遅筆で申し訳ないです！ (2018年8月10日 1時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Mao | 作成日時：2018年8月3日 21時
