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「ーーつまり、子供たちは走っている時にどこを通ってるかなんて見てやいないだろう。そんな時に俺は、どっかからぱっと飛び出して、その子をつかまえてやらなきゃならない。馬鹿げてるのは知ってるよ。でも、本当にやりたいことならそれしかないな。馬鹿げてるのは知ってるけどさ」
「・・・」
リエは無言でテレビを付けた。分厚いブラウン管の向こうで、大統領選挙戦の様子が中継されている。
「見てご覧よ。人種差別に賛成の大統領が治める国なんか、今にハチャメチャになって消えてしまうさ。肌の色が違う者、信じる神が違う者、魔法が使える者、支える党派の違う者・・・はみ出し者を徹底的に叩いて、それが女だろうが、子供だろうが、あいつらには関係ないんだ。叩いて、潰して、殺してしまう。そんなの、おかしいだろ。いや、おかしくないとおかしい」
「・・・」
「そう思うだろ。そう思うなら、君も子供ほっぽってまだ演劇をやりたいなんて、口が裂けても言えないはずだ。あんたの人生使って、あんたの子供を絶対に守りたいと思うはず。そうだろ？俺は少なくともそうだ。俺は何があってもオカダを守る。純粋で何も知らないオカダを、この腐った世の中から守ってやるんだ」
「・・・ねえ、ゴウ。あなたは、この世のすべてが気に入らないのよ」
リエは煙草を吸い、ふうっと灰色の煙を吐いた。
俺は時が止まったような感覚に襲われた。何の音もしない。思考が止まる。この女の、言っている意味が、わからない。
「・・・」
「あなたはね、ゴウ。今言ったことが、あたしにじゃなくて、自分に言ってることに気づいてないの。あなたは、この世のすべてが気に入らない、上手くいかない自分の人生が気に入らない。そうでしょう？」
アロハが窓の外に何かを見つけて、言葉にならない何かを喋っている。リエはアロハを抱き抱え、膝に座らせた。
「シカゴで大規模な魔女狩りがあった時、あなたたち家族は魔女のお兄さんを助けなかった。お兄さんは沢山の仲間を失ったわ。あなたたちが守ってあげていれば、お兄さんは悲しい思いをしなくて済んだ。それでもお兄さんはあなたたちのせいにせず、自分から姿を消して、自分の身は自分で守ることにしたのよ」
「・・・君、なぜ兄貴のことを・・・」
「ナガノという名の魔女もそうよ。彼は禁忌を侵してまで、あなたの寿命を奪ったわ。あなたと、あなたの弟を助けるために。彼が死ぬ時は地獄に落ちるわね、可哀想に・・・」
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ふき(プロフ) - お疲れ様です。原作とは違う切なさが、翻訳調相まって楽しませて頂きました。写真も臨場感たっぷり。舞台化して欲しい！サカモトくんとゴウが出会う場面がとても好きです。シュガーちゃん達のお話も続きをお待ちしております。 (2018年4月29日 19時) (
レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ふきさん» ありがとうございます！トニは尊すぎて書くには覚悟と下準備がいるんですよね笑。参考にさせていただきます！ (2018年4月6日 23時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 捕手には、なれずモラトリアムの闇に、沈んでいた日々。若さと折り合いが悪かった時代を思い出しました。若さって痛みを伴いますよね。楽しみに読ませて頂きます。厚かましいですが、トニにも是非いい物語を！個人的には「スモーク」如何でしょうか。 (2018年4月5日 19時) (レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まお | 作成日時：2018年4月4日 7時
