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「・・・可愛らしい子だね。アロハっていうのか」
「ええ、この子の父親と出会ったのがハワイだったから・・・」
リエはすっと視線を逸らし、「・・・話がずれたわね」と本題に戻った。
「それで、あなた本当に覚えてないの？」
「ああ、覚えてない。俺は確かにペンシーに戻ったけど、そこでルームメイトと友達に久しぶりに会って、数�靴離疋螢襪離灰圈爾亮�け渡しに立ち会って、それから・・・ひどく眠たくて、眠った・・・それしか覚えてない」
「そう・・・」
確かに、いつかジサツをしようと思っていた節はある。しかしそれはオカダを助け終わってからにしようと思っていた。やり残したことをやって、アラスカの森に帰って、オカダが目を覚ましたのを見届けてから、一人で勝手に死のうと思っていたのだ。その途中でこの俺が死ぬわけがない。そうだ、これはなにかの間違いだ。
「・・・それで俺が君の店に電話を入れたって？」
「そう。その時あたしは非番だったんだけど、店長が出て。無言電話だったから切ったって言ってたんだけど、警察が逆探知したら、ペンシーの寮に備え付いている公衆電話からだったって」
「・・・まったく覚えてないな」
「そう・・・」
リエはそう言ったきり黙った。娘のアロハは母の足に手を置き、窓の外を眺めている。
「・・・この子の父親は？」
リエはぱっとこちらに視線を送った。俺は目を合わせず、外を眺めるアロハの綺麗な茶髪を見ていた。
「・・・本当はあの時、バーのバイトの男の子から聞いたんだ」
「・・・」
「君、チェルシーでは駆けだしながら人気の女優だったんだってね。演劇が盛んなチェルシーでは、夢見る若者がわんさかいたはずだ。その中でも人気を博したということはかなりの実力派だったってわけだ」
リエは短いショートパンツから見える綺麗な白い脚を組みかえ、肘をついて俺の話を聞いていた。
「一人、ひどく熱狂的なファンがいたそうだね。ストーカー紛いの、頭の壊れたやつが」
リエの目が動いた。
「ある時、君は劇場の外で出待ちしていた彼に拉致され、性的暴行を受けた。君はそのせいで演劇を辞めた。そして今の店で働き始めた矢先、妊娠していることが分かった」
リエは目をそらし、娘の茶髪を撫でた。娘は母親の顔を見上げ、美しい笑顔で笑った。
「アロハというのは、君が最後に演じた役の役名だ。そうだろう」
心臓が鳴っている。
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ふき(プロフ) - お疲れ様です。原作とは違う切なさが、翻訳調相まって楽しませて頂きました。写真も臨場感たっぷり。舞台化して欲しい！サカモトくんとゴウが出会う場面がとても好きです。シュガーちゃん達のお話も続きをお待ちしております。 (2018年4月29日 19時) (
レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ふきさん» ありがとうございます！トニは尊すぎて書くには覚悟と下準備がいるんですよね笑。参考にさせていただきます！ (2018年4月6日 23時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 捕手には、なれずモラトリアムの闇に、沈んでいた日々。若さと折り合いが悪かった時代を思い出しました。若さって痛みを伴いますよね。楽しみに読ませて頂きます。厚かましいですが、トニにも是非いい物語を！個人的には「スモーク」如何でしょうか。 (2018年4月5日 19時) (レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まお | 作成日時：2018年4月4日 7時
