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乾燥し、よどんだ空気が不味かった。朦朧とする意識の中で目を開けると、自分はどこかのベッドに横たわってることに気がついた。
「起きた？」
身体が鉛のように重たい。声のした方へ目線をゆっくり動かすと、ぼやけた視界の中に一人の人物が浮かび上がった。
「・・・君は・・・」
「あら、随分驚いた顔」
リエは、俺が横たわるベッドの脇の椅子に足を組んで腰掛けていた。俺は起き上がろうとするが、身体がひどく凝り固まっている。
「まだ起きない方がいいわ。あなた何日も眠ってたから」
「・・・」
リエはウェーブしたブロンドの髪を一つにまとめて高い位置で結っている。
俺はゆっくり辺りを見渡した。部屋には小型のテレビやカウチがあるが、部屋自体はかなり狭い。無数の点滴を両腕に差され、白く薄いパジャマのようなものを着せられているところから見て、どうやら俺は今どこかの田舎の病院に収容されているらしい。
「・・・君は何故ここにいるの。ここはニューヨークじゃないだろう」
「よくわかるわね。ここはアイダホのアルコという町よ。すごく田舎だけど、良い病院と原子力発電所があるから裕福な町よ」
「ふうん・・・」
「・・・あたしが何故ここにいるかってことね。それはあなたが服毒ジサツする前に、うちの店に無言電話をかけたっていうのをペンシルベニア警察の人から聞いたの。それで有給取って、あなたの様子を見に来たのよ。店に電話って、十中八九、あたしにかけてきたような・・・」
「ち、ちょっと待ってよ」
俺はリエの口から出た言葉に驚きを隠せなかった。
「俺が何をしたって・・・？」
「何って、あなた、ペンシーに戻って友人に作らせた毒薬を飲んでジサツ未遂したんじゃない」
「な、なんだよ、それ。そんなのやってないよ」
「・・・起きたばっかりで記憶があやふやなのかもしれないわ。お医者を呼んでこようか」
「ちょっと待って」
俺が焦ってリエの腕を引くと、肩に近い上腕に何かが触れる。振り返ると、そこには知らない女の子がいた。
「えっ」
とっさに幽霊かと思い、身体が固まる。今まで見えなかった。突然現れた。
女の子は伸びた前髪の隙間から俺をじっと睨んでいる。するとリエが「ああ、アロハ、やめなさい」と女の子の手を俺の肩から払った。
「え・・・」
「娘よ。もう二歳半になるの」
リエは娘の綺麗な茶髪をするりと撫で、俺の目をじっと見つめた。心臓が鳴っている。
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ふき(プロフ) - お疲れ様です。原作とは違う切なさが、翻訳調相まって楽しませて頂きました。写真も臨場感たっぷり。舞台化して欲しい！サカモトくんとゴウが出会う場面がとても好きです。シュガーちゃん達のお話も続きをお待ちしております。 (2018年4月29日 19時) (
レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ふきさん» ありがとうございます！トニは尊すぎて書くには覚悟と下準備がいるんですよね笑。参考にさせていただきます！ (2018年4月6日 23時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 捕手には、なれずモラトリアムの闇に、沈んでいた日々。若さと折り合いが悪かった時代を思い出しました。若さって痛みを伴いますよね。楽しみに読ませて頂きます。厚かましいですが、トニにも是非いい物語を！個人的には「スモーク」如何でしょうか。 (2018年4月5日 19時) (レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まお | 作成日時：2018年4月4日 7時
