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「そんな・・・」
マサユキは明らかに動揺した。
「だからお前も死ね。死んでつぐなえ。あの世でケンに土下座して謝れ。逃げてすいません、見殺しにしてすいません、弱くてすいません、魔女ですいません、みんなの人生めちゃくちゃにしてすいませんってさあ！」
俺は銃を向けたまま、叫びながらマサユキに近づいていく。観衆の声援が最高潮に達する。マサユキは俺をじっと見たまま微動だにしなかった。
「オラァ！」
銃口を額の真ん中に突きつけた。心臓が跳ねる。鼓動を感じる。燃える血がどくどくと、全身を駆け巡っている。
「・・・なんでお前、寿命がこんなに短いんだ」
マサユキは、ゆらゆらと燃える目でぽつりと言った。静かな声だった。
「どこで落とした。何に使った」
「・・・関係ねえよ」
「駄目だ。これは禁忌だ。こんなことしたら、お前は絶対普通には死ねない」
「お前に関係ねえって言ってんだろ！」
マサユキの瞳が濃い碧色に光った。髪や服がふわりと舞い、まわりの空気が一瞬で澄み渡った。
「・・・ゴウ。お前もここに住めばいい」
「はあ？」
「オカダっていう子供も連れて来ればいい。リエという女も、アヤという女も必要なら連れてこい」
「ふざけんなてめえ、魔法使って・・・」
「ここにはアメリカで当たり前のことがすべて当たり前じゃない。戦争もない。宗教もない。魔女という概念もない。従って差別も貧富の差もない。みんな同じ幸せな暮らしをしている。お前の望み通りじゃないか」
マサユキは碧く光る目で言った。
「お前は一体何が不満なんだ。俺にはお前が何に怒っているのか全く分からない。ケンのDNAの遺った遺体があれば、あいつの新しい身体を造ってやれるよ。魂は別物になるけれど、身体はあいつのものになる」
パァンと乾いた音が響き、銃弾はマサユキの脳天を貫いた。
「・・・効かないな」
マサユキは穴の空いた顔で笑って言った。穴の向こうに小さな空が見えた。
「ケンが死んでしまったのは悲しいけど・・・それは俺のせいじゃない。俺は生まれた時から家にも社会にも居場所はなかった。自力で生きていけるお前たちと違って、俺はあそこから逃げないといけなかった。だから都会の魔女はみんな散らばったんだ。そのあとのことは知らない。俺の責任じゃない」
マサユキは額に手をかざした。穴はみるみる縮み、元通りになった。
「お前に俺は殺せない」
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ふき(プロフ) - お疲れ様です。原作とは違う切なさが、翻訳調相まって楽しませて頂きました。写真も臨場感たっぷり。舞台化して欲しい！サカモトくんとゴウが出会う場面がとても好きです。シュガーちゃん達のお話も続きをお待ちしております。 (2018年4月29日 19時) (
レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ふきさん» ありがとうございます！トニは尊すぎて書くには覚悟と下準備がいるんですよね笑。参考にさせていただきます！ (2018年4月6日 23時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 捕手には、なれずモラトリアムの闇に、沈んでいた日々。若さと折り合いが悪かった時代を思い出しました。若さって痛みを伴いますよね。楽しみに読ませて頂きます。厚かましいですが、トニにも是非いい物語を！個人的には「スモーク」如何でしょうか。 (2018年4月5日 19時) (レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まお | 作成日時：2018年4月4日 7時
