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オカダの体には無数の痣があった。オカダはその事について全く俺に話さない。それがなぜだか、俺にはよく分かる。
「・・・ペンシーは放校になったよ」
「・・・」
親父は目をひん剥いたまま固まっている。俺はジャンヌ銃を突きつけたまま、今まで溜め込んでいた感情を、ひとつずつズブリ、ズブリと親父に差し込んでゆく。
「・・・俺たち兄弟がおかしくなったのは全部お前のせいだ。兄貴が消えたのも、ケンが死んだのも・・・」
「てめえ・・・」
「何が悲しくてオカダを殴るんだよ。何であの時兄貴を呼んで、ケンを生き返させなかった。何で俺をあんな狂った学校へ追いやった。何で俺たちだけこんなにつらいんだ」
親父の喉に銃を突きつける。親父が生唾を飲み込む振動が、銃から俺の手に伝わった。
「お前を殺して、兄貴を殺して、こんなに理不尽で狂った世界からオカダを救う。お前たちのような悪は滅ぶべきだ。純粋で、無垢な者しか生きていちゃいけないんだよ。お前は死ね。そうすれば差別も戦争も、宗教だって滅ぶ。そうすれば世界は変わる。ずっとより良くなるはずなんだ」
「・・・お前、言ってることがめちゃくちゃじゃねえか」
親父は微かに笑って言った。俺は引き金に指をかける。親父は表情ひとつ変えずに、掠れた声で言った。
「自分の人生が上手く行ってないのを人のせいにすんじゃねえよ。ケンが死んだのはその場にいて何も出来なかったお前のせいじゃないか。オカダが何にも言わねえのは、お前にはあいつを助けられないと、あいつ自身がよく分かってるからじゃねえのか？マサユキが帰ってこねえのは、お前があいつをシカゴの魔女狩りから救わなかったからだろ？」
全身がかっと熱くなる。心の奥の閉ざした部分を、尖った刃でザクザクとほじくられている感覚だ。心臓がどくどくと跳ね、頭から汗が吹き出た。
「違う」
「進級できなくてのこのこ帰ってきたくせに、偉そうなこと並べてんじゃねえ。世界は普通に回ってんだよ。見てみろよ、他の奴らは普通に生きてるじゃねえか。仕事が全部だめになった後だって俺は生きてんだよ。生きるためにどんなに汚い仕事だってやるんだよ。お前はどうだ。這いつくばって、みっともない姿で生きるのができない、ただの見栄っぱりじゃねえか。そんなお前に、普通に生きてる俺たちをどうこう言う資格なんかねえんだよ。俺がオカダを殴ろうが、ケンを見殺しにしようが、お前に口を出す権利はねえ」
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ふき(プロフ) - お疲れ様です。原作とは違う切なさが、翻訳調相まって楽しませて頂きました。写真も臨場感たっぷり。舞台化して欲しい！サカモトくんとゴウが出会う場面がとても好きです。シュガーちゃん達のお話も続きをお待ちしております。 (2018年4月29日 19時) (
レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ふきさん» ありがとうございます！トニは尊すぎて書くには覚悟と下準備がいるんですよね笑。参考にさせていただきます！ (2018年4月6日 23時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 捕手には、なれずモラトリアムの闇に、沈んでいた日々。若さと折り合いが悪かった時代を思い出しました。若さって痛みを伴いますよね。楽しみに読ませて頂きます。厚かましいですが、トニにも是非いい物語を！個人的には「スモーク」如何でしょうか。 (2018年4月5日 19時) (レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まお | 作成日時：2018年4月4日 7時
