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俺たちの人生が狂って行ったのは、親父のせいだと確信していた。
長男の母親は魔女だった。親父はその魔女を捨てると、長男だけを無理やり引き取った。将来魔法が経営の役に立つと思ったからだ。
魔女の血を引いた長男は次第に社会から拒絶されていった。魔女は危険だというステレオタイプが先行し、母親から魔法を習わなかった長男は大した魔法も使えないにも関わらず、人間と同じ暮らしをすることを禁じられた。
戦争が始まると、俺やケンを置いて長男は行方をくらませた。親父は逃げた長男を探すため、シカゴを一時的に離れていた。丁度その時、あの空襲があった。親父は全てを失ったが、命だけは助かった。その後すぐ別の女からオカダが生まれた。親父は今、その女とオカダと一緒に暮らしている。
オカダは、ケンや長男の存在を知らない。
「あー？こんな朝っぱらになんの用だよ？」
呼び鈴を鳴らすと、中から耳に馴染む声がした。親父だ。確かポートランドに着いたのは夕方だったが、何故か今は朝になっている。
「俺だよ、父さん」
建付けの悪いドアが開き、中からひどく老けた親父が現れた。前に見た時よりだいぶ痩せ、白いランニングシャツに下着という雑な格好をしている。
「・・・なんでテメエがここにいんだ。学校どうした」
「そのことで話に来たんだ。入るよ」
俺はぐっと扉を開け、部屋の中に入った。腐臭が凄く、どんよりした空気が中には漂っていた。
「何なんだよテメエ」
親父は大声で叫んだ。テーブルの上にある、チラシの裏の落書きが目に止まる。二つの物体の下に、『ぼく』『ゴウくん』と書いてあった。チラシには黄色くなった汚れがこびりついている。
「・・・あんたオカダに手出してるだろ」
「は？」
「あいつのこと虐待してんだろって言ってんだよ」
親父は顰め面で俺を睨んだ。俺は近くにあったコップを握りしめ、思い切り床に叩きつけた。バリーンと大きな音が鳴り、奥の部屋で寝ていたオカダの母親が毛布にくるまり出てきた。
「なっ、何事よ！」
「・・・兄貴どこにいんだよ今」
俺は胸からヨシヒコに貰った金のジャンヌ銃を取り出し、親父に突きつけた。女がヒステリックに叫び出す。
「どこにいんだって聞いてんだよ！」
女が毛布を放り裸で家を走り回る。電話で警察を呼ぼうとしたので、銃で撃ち捨てた。
「おまっ・・・」
「応えろやァ！」
冬の寒空が広がっている。
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ふき(プロフ) - お疲れ様です。原作とは違う切なさが、翻訳調相まって楽しませて頂きました。写真も臨場感たっぷり。舞台化して欲しい！サカモトくんとゴウが出会う場面がとても好きです。シュガーちゃん達のお話も続きをお待ちしております。 (2018年4月29日 19時) (
レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ふきさん» ありがとうございます！トニは尊すぎて書くには覚悟と下準備がいるんですよね笑。参考にさせていただきます！ (2018年4月6日 23時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 捕手には、なれずモラトリアムの闇に、沈んでいた日々。若さと折り合いが悪かった時代を思い出しました。若さって痛みを伴いますよね。楽しみに読ませて頂きます。厚かましいですが、トニにも是非いい物語を！個人的には「スモーク」如何でしょうか。 (2018年4月5日 19時) (レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まお | 作成日時：2018年4月4日 7時
