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「寿命を・・・半分・・・！？」
我を忘れて叫んだ。ナガノくんは深く頷き、俺の目を見て言った。
「ゴウが今持ってる自分の寿命の半分を、オカダにあげるんだ。そうすればその寿命分はまだオカダも生きられる。その寿命の譲渡なら僕の魔法でできる」
オカダは眠っている。鳥のさえずりや風の音が、俺たち三人のまわりで渦巻いている。
「それでいいから、やってくれ」
ナガノくんはこくりと頷き、オカダを抱き抱えたまま立ち上がった。
「それには準備がいるんだ。一度僕の家に帰ろう」
「分かった。ナガノくんの家はどこにあるの？」
「この森の先だよ。ついておいで」
ナガノくんは優しく笑うと背を向けて歩き出した。疲労した身体を引きずってついて行くと、森の中の不思議な様子に目を奪われた。
「・・・なんだか変わった森だね、ここ」
「なぜそう思うの？」
「木が全然見たことない種だし、動物もよく見る型じゃない。うさぎにしては尻尾が長いし、鹿もつのがトナカイみたいだ。まるで森全体に魔法がかかっているみたい」
「ゴウ、君とはとても久しぶりに会ったけど・・・」
遠くに小さな家が見えてくる。ナガノくんは優しい声で言った。
「昔と変わらず聡明な人の子だ」
「・・・俺ずっとナガノくんに会いたかった」
ナガノくんは家のドアノブに手をかける。ギイイと重たい音がして、扉は開いた。
「おやおや。魔女に会いたいなんて、外で言ってはいけないよ」
ナガノくんの家は本当に小さな小屋のようだった。シカゴの家にもあったロッキングチェアが、部屋の真ん中に置いてあった。東側に暖炉、その横に小さなキッチン、南にベッドとクローゼットが置いてあるだけのひどく簡素な家だ。
ナガノくんはベッドにオカダを横たわらせた。クローゼットを開けると服ではなく大量の魔導書が積み上がっており、そこから緑の表紙の分厚い書を引っ張り出した。
「ここはアラスカの森だよ」
ナガノくんは本をめくりながら言った。
「国内で追いやられた魔女たちが住みつく、魔法の森さ」
「アラスカの森・・・」
「人の子はめったにやってこないんだ。領主に置いていかれたドレイか、世迷い人が、僧侶か、物好きしかいないな。あ、ココア飲む？」
「・・・ナガノくん。俺、まだやり残したことある」
魔導書をぱたんと閉じ、ナガノくんは薄い紫陽花色の瞳で俺を見つめた。
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ふき(プロフ) - お疲れ様です。原作とは違う切なさが、翻訳調相まって楽しませて頂きました。写真も臨場感たっぷり。舞台化して欲しい！サカモトくんとゴウが出会う場面がとても好きです。シュガーちゃん達のお話も続きをお待ちしております。 (2018年4月29日 19時) (
レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ふきさん» ありがとうございます！トニは尊すぎて書くには覚悟と下準備がいるんですよね笑。参考にさせていただきます！ (2018年4月6日 23時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 捕手には、なれずモラトリアムの闇に、沈んでいた日々。若さと折り合いが悪かった時代を思い出しました。若さって痛みを伴いますよね。楽しみに読ませて頂きます。厚かましいですが、トニにも是非いい物語を！個人的には「スモーク」如何でしょうか。 (2018年4月5日 19時) (レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まお | 作成日時：2018年4月4日 7時
