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俺は目を疑った。
青年は銃を持ったままバスの通路を後から前に歩いていく。青年は運転席まで辿り着くと運転手の頭に銃口を向け、「このままポートランドまで運転を続けてください。どこかに無線でこっそり連絡したりバスを止めたら撃ちます」と冷静に言った。
「バ、バスジャックだ」
俺の後ろの乗客が震える声で呟いた。
「はい、じゃあ乗客のかたぁ。無線やその他外部と連絡を取れる端末を持っている方はいますかぁ。いたらそれを僕に渡してください」
青年は気の抜けたような軽い口調で乗客に話しかける。一人が携帯無線機を渡しただけで、残りの乗客はぴくりとも動かなかった。
「何もしなければ殺さないから、みなさん黙って座っててください。僕が用事があるのはこの人だけですから」
青年は、黄金に光る銃をとある乗客に向けた。近くに座る年増の女が小さく悲鳴をあげた。
その乗客はじっと青年を見つめている。銃口を当てられているというのに、ぴくりとも動かず怯えた様子もなかった。強い眼差しが交差する。
「・・・お前」
乗客が震える声で言った。青年は目にかかるほど長い前髪の下から鋭い眼光を向けた。
「な、なぜ私がここにいると・・・」
「黙れ。口を開くな」
乗客は時代遅れのキャスケットを深く被り、サングラスをかけている。キャスケットからはみ出す後れ毛は、綺麗な黄金色だ。
「乗客のみなさんに教えておいてあげようか。こいつは大統領の三男坊さ」
車内がどっとざわめいた。すると青年は胸元からもう一丁の銃を取り出し空に向け、「あ、騒いだら撃つからね」と言った。
「ヨシヒコ、お前、何でこんなこと・・・」
その乗客はバスジャック犯を『ヨシヒコ』と呼んだ。ひどく動揺した様子であった。『ヨシヒコ』と呼ばれた青年は、黒い髪に黒い瞳で金色の乗客を見つめた。
「お前のパパに声明を出したんだよ、コウイチ=デービッド=アイゼンハワー。この国での有色人種差別を撤廃しないと、お前の息子は殺すってな」
「そんな・・・」
青年が何故その乗客と元々知り合いだったらしいのか、俺には分からなかった。しかし、二人の中で何か大きな確執があるのは目に見えた。ぴんと張り詰めた空気が流れ続ける。
「お前・・・こんなことして、どうするんだよ。絶対捕まるじゃないか。こんなことして何になるんだよ」
「
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ふき(プロフ) - お疲れ様です。原作とは違う切なさが、翻訳調相まって楽しませて頂きました。写真も臨場感たっぷり。舞台化して欲しい！サカモトくんとゴウが出会う場面がとても好きです。シュガーちゃん達のお話も続きをお待ちしております。 (2018年4月29日 19時) (
レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
Mao(プロフ) - ふきさん» ありがとうございます！トニは尊すぎて書くには覚悟と下準備がいるんですよね笑。参考にさせていただきます！ (2018年4月6日 23時) (レス) id: a30f7359e2 (このIDを非表示/違反報告)
ふき(プロフ) - 捕手には、なれずモラトリアムの闇に、沈んでいた日々。若さと折り合いが悪かった時代を思い出しました。若さって痛みを伴いますよね。楽しみに読ませて頂きます。厚かましいですが、トニにも是非いい物語を！個人的には「スモーク」如何でしょうか。 (2018年4月5日 19時) (レス) id: ada8638135 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まお | 作成日時：2018年4月4日 7時
