転生人生 (ページ10)

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第二章ページ10

時が経つのは早いもので、もう陽向も高校生になろうとしていた。

入院というものはつまらないと思いがちだが、患者さんと会話したり、遊んだりできて案外楽しいものだった。

本当ならもう少し入院生活を送るべきだと医者には言われていたのだが、両親と兄二人が、一番楽しい時期だから。と頼み込んでくれたため退院する事になった。

高校生となった陽向は身長こそ150cm以下と大分低いが、整った顔立ちに透き通るような全く日焼けのしていない白い肌。

そして、小さな顔にクリッとした大きな瞳を持つ綺麗(というよりは可愛いといった方が合っている)な少女へと成長していた。

私の行く学校である雲雀丘高校は寮での生活となるらしい。

ベージュを主に作られたセーラータイプの制服に着替えて、銀色のチャームがついたネックレスを首にかけた。

このネックレスは『能力制御装置』と呼ばれるアーティファクトの内の１つである。

強い能力持ちは、吸血鬼や、獣などにとって美味しそうな匂いを発するらしく、その危険から体の弱い陽向を守るためのものだ。と兄にはそう説明された。

制服に乱れがないか正面にある鏡を少し覗いてみるが、やはり陽向は充分、美少女に値する容姿の持ち主だ。

端から見ればただのナルシストなのだが、生憎私は転生したということで全くの他人事である。

その内、陽向が最期を迎える時も他人事になりそうだ。

笑えばもっとその容姿のかわいさが引き立てられる筈なのだが、ニコリともしない陽向の表情は容姿と釣り合わない気がした。

肉親でさえ、陽向の表情が変わったところを見たことがない。

陽壱はコロコロと表情が変わる人で、陽兎はあまり表情を表に出さないタイプで、陽向や陽壱の前以外で表情を変えたところを未だ見たことがない。

その点に関しては、陽兎と少し似ていると言えるだろう。