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もの凄いグットタイミングである。


少しあどけなさが残るものの、その声は冷たく、棘々しさを帯びていた。


その声の主は、陽壱だった。


何時もの陽壱の声からは想像のつかない声音に少々驚いたが、その次の瞬間、陽向は腕を引っ張られ、誰かの背中に隠された。


その人はこちらを一切振り向かずに一言、「大丈夫だ」と告げた。


陽壱より少し低めのその声は間違いなく陽兎のものだ。


「俺達の妹に手を出すなら…手加減はしない」


さらに声を低くした陽兎からはとんでもない程の怒気が伝わってくる。



陽壱が熱なら陽兎は氷である。


ヒヤリなんて可愛いものではない。
その目で一度射られればもう生きた心地がしてこないのだ。


ここである程度力のある人間であれば素直に退いただろう。


ここにいる力の無い程度の人間は思った通り、少し怯えながらも立ち向かってきた。



立ち向かってきたなんて大層なものではない。
一言で言えば『負け犬の遠吠え』である。


率直に言おう。
『馬鹿』なのである。


「お前、さっきからずいぶんと舐めた口聞きやがって………こっのクソガ______ッ!?」


ドサッ、という音と共にわめいていたお兄さんは“見えない何か”によって地面に叩きつけられていた。


「…ホント、弱い犬程よく吠える」

「ば、化け物っ!!」


冷たくいい放った陽兎と眼光を尖らせてお兄さん達を睨みつけている陽壱にお兄さんの一人は叫んだ。


「…ふーん、アンコールして欲しいの?……次は腕をおってあげようか」

「ひ、ヒィ!!」


未知の力を目の当たりにし、ただただ怯えるお兄さん達に二人は妖しい光をたたえてふっ、と微笑んだ。


腰を抜かしながらも走って逃げていくお兄さん達を冷めた目で見つめ、二人は陽向の方を振り向いてさっきとはまったく違う優しい笑みを浮かべた。


「大丈夫?」

「はい、ありがとうございました」


陽兎はペコリと頭を下げた陽向の頭を撫でながら「…戻ろうか」と言った。


……陽壱さんと陽兎さんでは少し他人行儀過ぎたかもしれない。


「…はい。ヨウ兄さん、ハル兄さん」


そう思って呼び方を変えると二人は驚くより先にパァ!と顔を輝かせた。


ここら辺の反応は年相応で実に良いと思う。


「じゃ、いこ?ヒナ」


そう言い、陽壱は陽向の右手を握り、陽兎は左手を握ってゆっくりと歩き出した。

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- 捺さん» ホントですか!?ありがとうございます(泣) (2014年8月1日 0時) (レス) id: 08fd5b2463 (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったですよ! (2014年7月31日 23時) (レス) id: 4a1efa2d10 (このIDを非表示/違反報告)
- よろしくお願いします^^ (2014年7月7日 19時) (レス) id: 08fd5b2463 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2014年2月3日 22時

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