【名探偵コナン】もう一人の名探偵【劇場版限定】最終話2

推理 ページ29

『この写真を撮ったのは、そのお爺さんじゃない？』

話の中には、ベルモット達のこともあった。
名前は出さなかったけれど、お爺さんは彼女らととても仲良くなったようだった。

「…懐かしいわね」
「当時で幸太郎と同い年くらいだったものね、そりゃもうお爺さんだ」
「気の利く面白い人だった。アメリなんて、幸太郎より彼がいいってよく言ってたわ」
「そうそう。その度に幸太郎はレベッカに泣きついて」

2人は次々と思い出される当時のことに、柔らかく笑い合った。

目的のためなら、対象の存在を消すことも厭わない悪逆非道の組織。

然してその前身は、理不尽に傷つけられてきた弱い人達を救う、善い団体だった。

ーーそうだった、はずなのだ。

『この組織は…貴方達は、元から黒かった訳じゃない』

写真に写る5人は、本当に幸せそうだ。

『白が、黒に塗り替えられた…塗り替えざるを得ない出来事が、あった』
「…成程。ルーク達の今の姿も、それに関係しているんだな」

静かに私の話を聞き、推理を詰めていた新一が続けた。

「組織の目的は、死者を蘇らせること」
『その死者とは…』

『「ルークとレベッカ」』

アメリとベルモットの瞳が、微かに細められた。

「この大量の管が繋がれている機械、生命維持装置だろ？」
『でも、生きてはいないよね。この装置は、臓器や皮膚が腐敗しないように管理している』

宮野夫妻が開発していた、死者を蘇らせる薬が完成した時、すぐに投与できるように。

「腐敗しないということは、彼らの身体は死亡した時点から時間が止まってる」

つまり、2人はあの写真から数年後に死亡。ベルモットとアメリは2人を蘇らせるために、遺体を保管し続けている。

『鷹野幸太郎も写真の数年後に亡くなってるようだけど、ここに彼はいない』
「鷹野幸太郎だけ、違う時期に亡くなったか」
『尚且つ、貴方達は鷹野幸太郎の死を受け入れた。でも2人の死は受け入れられなかった』

だから、蘇らせようと考えた。

「鷹野幸太郎は病死。次第に衰弱していったのか、予め死期がわかっていたか。少なくとも、お前らが受け入れられる穏やかな死だった」
『ルーク達は違った、ということは…突然かつ理不尽に、2人は命を落とした』

つまり、事故に遭ったか…

『殺されたか』

シン、と静まり返る。

微かに響くのは、ルークとレベッカに繋がれた機械の稼働音だけ。

「…昔の話をしましょうか」
「そうね。私達の…始まりと終わり、そして新たな始まりの話を」

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