飛行船の向かう先 ページ19
「ええっ!?」
「そ、そんな…」
「間違いないんですか?」
「イタズラなんじゃ…」
事情を聞いた乗組員達は、一様に不安を示した。Aは腕を組む。
「いや、残念ながら…今本庁に確認したところだ」
その言葉に、皆が顔を見合わせる。どうするべきなのか、お互いで推し測っている、といった具合だ。
「とにかく、さっきも言ったように、Bデッキの喫煙室は封鎖…」
「うわあ〜!」
中森警部が、さしあたっての指示を出していると、奥で誰かが呻くように叫んだ。
『な…お、お前!』
振り向いた藤岡は、全身を真っ赤に染め上げて、涙目でこちらに助けを求めていた。
「ほ、発疹!?」
「まさか、感染したのか!?」
『…そういえば、確かさっき、喫煙室のほうへ向かってた。スカイデッキでも、浅野さんに注意されてたし…』
「た、確かにそうです」
「た、助けてくれ…お願いだ…」
これが映画なら、カテゴリは完全に〔ゾンビホラー〕である。だが、この状況下で、ハリウッド女優ばりの甲高い悲鳴を上げる気にはなれない。
中森警部の交渉も空しく、藤岡は一気に、こちらとの差を詰めてきた。
『っ、』
「A、ダメよ!」
Aは藤岡を止めようと、その場から動きかけた。だが、蘭が彼女の腕を引っ張る。その拍子に、Aは後方へと退いてしまった。
蘭がAを引っ張った勢いのまま、藤岡の前に出る。
「うっ…」
一瞬だった。
藤岡の鳩尾に、蘭が拳をねじ込んだのだ。
「す、すまん…」
「いえ」
『蘭ちゃん…』
「A…。Aは、私を守ってくれるんでしょ?だったら、私もAを守ってあげるね」
蘭はにっこりと微笑んだ。Aも、ふっと笑う。
「蘭くん、すぐに手を消毒したほうがいい」
「え?」
配膳室でアルコール消毒ができるから、と蘭はウェイトレスに促され、駆けて行った。
「この船から感染者を出してしまうとは…」
「ちょっと!大丈夫?」
今度は、先ほど蘭に、配膳室へ促してくれたウェイトレスの声が響いた。床にはポニーテールの女性が倒れている。
『…!?まさか』
「ほ…発疹が、右手と左腕に!」
「くそっ、彼女もか…」
感染者、2名。毒を散りばめられた飛行船が向かうのは果たして、死の底か…小さな光のもとか。
Aは唇を噛みしめた。
―――
蘭いっけめーん!ですね!←
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美紀 - コナン大好きです最高ですコナン新一大好きです (2018年12月28日 21時) (レス) id: a31ea93868 (このIDを非表示/違反報告)
さや(プロフ) - 8ページの哀ちゃんのセリフで「~頭沸いてるのかしら」で吹きましたw (2017年4月9日 6時) (レス) id: 8134922ea4 (このIDを非表示/違反報告)
トモシビ - 一言だけ書かせてください。kaka様の作品、全て拝読させて頂きましたが…神ですか!?本物の作家さんですか!? (2016年6月16日 18時) (レス) id: bfa307b641 (このIDを非表示/違反報告)
とみ - 14歳であの威力…チートですな! (2016年4月22日 11時) (レス) id: 86e9b475ac (このIDを非表示/違反報告)
kaka。(プロフ) - みーさん» ですよねwコメありがとうございます! (2014年4月24日 9時) (レス) id: 903cb29af8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kaka | 作成日時:2013年5月31日 13時