充電させて ukns ページ30
Yuto side
「ちょっと休憩。15分後に再開で」
事務所のスタッフさんがそう声を掛けると皆一斉に力を緩めた。
今日は数本の動画撮影の後、事務所のスタッフさんと打ち合わせをしている。
メモを取りつつ話も聞きつつ今後の事について考えていれば否応なく頭は疲れていて。目頭を押さえて深く息を吐いた。
「那須。」
ポンポンと肩を叩かれて顔を上げると浮所が扉を指しながら、ちょっと来て。という顔をしていた。
何か話があるのかなと思い素直に従って会議室を出ると強く手首を引かれて足早に歩を進められた。
『ちょっ、浮所?』
俺の焦った声に何の反応も示さず楽屋への扉を開け放った浮所は部屋の中に俺を引っ張り入れると閉まりかけていた扉に俺の身体を押し付けた。
『いっ...!!』
力が強すぎて上げた悲鳴の声は塞がれた口に全て飲み込まれ、抵抗しようと押し返す手はいとも簡単に顔の横で拘束される。
身体を重ねる時にしかしない激しいキスを繰り返されて抵抗する意思も腰も砕けていく。
『ちょっと、ほんとにまって』
少し落ち着いた感覚に慌ててストップを掛けると意外と素直に止まってくれた浮所に感謝しつつ上がり切っている息を整える。
必死で息を整えてる最中も浮所はどこか物足りなさそうな顔をしていて。
「いい?」
『え、?』
質問の意図を読み取れなくて固まる俺に浮所は片方だけ口角を上げると未だ砕けていた腰を抱いて部屋のソファに落とされる。
そしてまた激しく唇を重ねられて。
ほんとにやばい。ついていくのに必死でどうしたらいいのか分からなくなった時。
某メールアプリ特有の着信音が鳴り響く。
少しばかり考え込んだ浮所は着信音を無視してまたキスの雨を降らす。
『けいた、なって、る』
合間に必死に紡いだ言葉に漸く動きを止めた浮所はポケットに入っていた携帯を取り出してマスクをすると通話を開始した。
テレビ通話の相手は大吾くんみたい。あいつ先輩からの電話無視しようてしてたのかよ、やべーな
スマホの向こうからいろんな声が聞こえてきて動画撮影か、と酸欠で回らない頭で考えた。
暫くして通話を切られた(らしい)浮所が変な顔で俺を見た。
「よく分かんない電話だった。」
俺からしたらお前も分かんないけどな。
『てか、いきなり何?』
「ん?最近忙しかったから。」
充電だよ。充電。
甘い顔でもう一度顔を近づけてきた浮所を俺は素直に受け入れた。
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作者名:ほのぼん | 作成日時:2021年2月10日 23時