転生 ページ8
｢意味がわからない。｣
天才セッターくんがネット前で呟いた。
勝ちたい以外の意味なんてねぇよ。
そう思ってその場を後にし、ボールを受け取りサーブの位置につく。
この勢いに乗る。
意味なんか考える暇があるなら、打開策を導き出し、
チームを先導して勝ちへと誘うのが“司令塔”の役割なのでは？
ボールをバウンドさせ、感触を確かめた。
しっとり、そしてしっかりと手に馴染む感触。
みんなが、会場のみんなが俺に注目している。
牛島さんも、及川さんも、ハジメも、
今は高校生でこの中学生の大会には参加出来ない。
超高校級の怪物に肩を並べるのならば
この注目すら味方に付けなければならない。
刮目せよ。
ﾋﾟｯ!
笛と同時にボールを放った。
いつも通りでいい。
そのいつも通りの行動の中で、
意識的に腕に力を集中させる。
あえて左で打とうと思った。
なんか、熱を持った体に対して
冷静すぎる頭の中をよぎったんだよね。
“攻撃は最大の防御”って。
俺の一番の武器は多分だけど両利きであって、
フォームを確認するまでどちらで打ってくるのか分からない、という点だと思う。
小学生時代から磨いた左打ち。
かれこれ4年目。
たった4年の練習しかしてないけれど、
それは確かな武器へと進化していた。
ﾀﾞｧｯ
鈍い音と共に痛みがはしる。
いい当たり方。
この当たり方ならコースも悪くない。
ボールを追いつつ、ポジションへ戻る。
腐っても北川第一。
レシーブによりボールが上がる。
天才セッターくんが立っていた位置を大きく移動し、パスを取りに行く。
それくらいには乱した。
セッターくんが選ぶのは誰なのか。
ストレートか…いや違う、
あのブロックじゃオープンが空いて…
｢東くん下がれ！！！｣
俺の声は一瞬遅く、強めのオープン攻撃が飛んでくる。
俺の足でも間に合わない。
これじゃ勢いに乗り切れない…
それは嫌だ…
時が止まったようにスローモーションに流れる景色。
俺の体も動かない。
また届かないのか…？
しかし1人居た。
そのオープンの先に、ひっそりと息を殺して
ﾀﾞｧﾝｯｯ
あの人の得意な回転レシーブ。
それは北斗くんの元へとゆっくり、だけどしっかりと上がった。
｢夕先輩！！！｣
｢言っただろ！！後ろは俺が守るって！｣
太陽のような守護神が、そこにはいた。
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肺の燻製(プロフ) - 703さん» 703様からのコメントに作者の私の心もしっかりと鷲掴みされてしまいました。コメントありがとうございます。ぜひこれからも楽しんでいただければ幸いです。 (3月17日 13時) (
レス) id: f1877497e8 (このIDを非表示/違反報告)
703(プロフ) - コメント失礼します作者様の巧みな文字の動きに毎回心を鷲掴みです！ワクワクが止まりません！新星くんがとってもカッコよくて安定感を持っていながら南くんや東くんなどのキャラもしっかりと作り込まれてい応援が止まりませんとくに最新話の2年生4人に痺れました！ (3月17日 2時) (レス) @page4 id: 122d3150cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：肺の燻製 | 作成日時：2024年3月16日 18時
