転生と王様 ページ7
15-14
拮抗する試合。
まだその時は訪れない。
なら少しアクションを起こそう。
俺はわざと左側へ走り、方向転換。
右側へ流れるように飛んだ。
天才セッターくんがそれに気づき止めようと
『よくそこに飛んでくれたね。』
1VS1の空中で繰り広げられる読み合い。
その答えは違うよ、天才セッターくん。
北斗くんは任せると言うように、回転の少ない打ちやすい球をあげる。
ねぇ、天才セッターくん。
俺がいつ、右側からは左打ちクロスしか打ちません。
なんて言ったんだ？
左打ちの体を、障害物のない空中で無理矢理右へと変更しストレート。
フォームは崩れていた。
それでもできる限りの丁寧で、力任せに打った球は相手コートの床へと妨害されることなく一直線に落ちた。
ﾋﾟｯ!
・
・
・
｢うぉぉぉぉぉ！！！？ナイスだ新星！！｣
南くんの声を皮切りに興奮した観客からの歓声と
千鳥山バレー部が沸く。
飛び込みハグに、ハイタッチ。
もみくちゃが心地いい。
あぁ楽しい。
敵を欺けた快感、得点に繋がった嬉しさ、全てが俺の体を駆け巡る。
｢っしゃああああああああぁぁぁ！！！！！｣
それは雄叫びとなって表れる。
ーーー
何だこの試合。
なんなんだこの新星ナツメ。
ここしばらくの試合で、右側からは左打ちクロスしか打たなかったじゃないか、！
なぜ変えた、なぜ変えられた。
あの顔。
あいつは、笑っていた。
罠にかかったなと言わんばかりに
確実に俺が飛んだのを見てから変えたフォーム。
あんなのあり得ない。
有り得ていいはずがない。
デタラメな作戦、突飛な発想、突発的な行動。
どれをとっても俺にはコントロール出来ない。
それなのにあのセッターはそれをわかっていたように
ボールを送る。
それもバックトスで。
あんなでたらめがあっていいはずがないんだ。
でも新星ナツメには可能で、
セッターの想定内にいたからトスが飛んできた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 345人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
肺の燻製(プロフ) - 703さん» 703様からのコメントに作者の私の心もしっかりと鷲掴みされてしまいました。コメントありがとうございます。ぜひこれからも楽しんでいただければ幸いです。 (3月17日 13時) (
レス) id: f1877497e8 (このIDを非表示/違反報告)
703(プロフ) - コメント失礼します作者様の巧みな文字の動きに毎回心を鷲掴みです！ワクワクが止まりません！新星くんがとってもカッコよくて安定感を持っていながら南くんや東くんなどのキャラもしっかりと作り込まれてい応援が止まりませんとくに最新話の2年生4人に痺れました！ (3月17日 2時) (レス) @page4 id: 122d3150cd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：肺の燻製 | 作成日時：2024年3月16日 18時
