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転生 ページ5

試合前。
緊張により体が強ばる。


できるだけ息を吐き、体の力を抜く。


目を閉じて集中する。

相手は北川第一。
セッターは俺と同じく2年生。
相手は化け物とかモンスターでは無い。
同じ人間。
細胞の数、思考、趣向、性格などに違いあれど、本質的な違いはほぼ無いに等しい。
そして同じ国の人間である。



思考を埋め尽くせ、コートを制した方が勝ち。


勝てるなら支配者にでも、般若にでもなってやる。


先輩と一緒に勝ち進みたい。
そのためなら、なんだってやるんだ俺は。



ーーー
同じ千鳥山バレー部員は気づいた。
部員である新星ナツメの纏うオーラが変化したことに。

しかし誰もそれを声に出したりはしない。



新星ナツメを自由にする。



それが今このチームが勝てる最適解。


普段疎い西谷夕もそれを理解しており、周りの3年生と話している。


ナツメが集中モードに入ったことにより、チームは団結する。



“勝ちたい”


その思いだけは誰もが抱いていたからだ。


ーーー


挨拶から試合は始まる。


サーブ権をもらった。
初手のサーブは南くん。


俺は笛がなるまで床を眺める。
集中したい時は動くものではなく、不変なものを見る癖がある。


周りの歓声も、ボールの音も、シューズの音も聞こえない。

いい集中だ。
こんなにも、何かに集中したことはなかったように思う。



笛が鳴る直前に顔を上げた。



ピッ!



試合が動き出す。
試合が始まる。


南くんのサーブは綺麗に入る、相手は少し崩れた。
しかし相手は北川第一。
その崩れすらもろともしない。
ボールは乱れつつもセッターに帰る。
天才と呼ばれしセッター。
完璧なセットアップ。
こちらのコートを確認した。
こちらのコートの穴はどこだ?
どこの誰を見て穴だと思った?
視線は一瞬だけ左奥、俺からしたら右奥を見た。
南くんの位置。
これはフェイントなのか?
いや違う、北川第一の映像を確認した時は全て初手はバックアタック。
9割の確信の元右側へと移動する。


セッターからトスが上がる。
やはり右側。

スパイカーが飛び上がるのが見えた、その後ろに隠れながら誰かが走っている。本命は彼だろう。



北斗くんとミドルが先に飛ぶ。

フェイントに引っかかってしまった。


でも俺はまだ、飛んでいない。


俺が居る。



ドダァンッッ


スパイカーのバックアタックを俺の限界まで伸ばした右腕が止める。


ボールは相手コートに落ちた。

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肺の燻製(プロフ) - 703さん» 703様からのコメントに作者の私の心もしっかりと鷲掴みされてしまいました。コメントありがとうございます。ぜひこれからも楽しんでいただければ幸いです。 (3月17日 13時) (レス) id: f1877497e8 (このIDを非表示/違反報告)
703(プロフ) - コメント失礼します作者様の巧みな文字の動きに毎回心を鷲掴みです!ワクワクが止まりません!新星くんがとってもカッコよくて安定感を持っていながら南くんや東くんなどのキャラもしっかりと作り込まれてい応援が止まりませんとくに最新話の2年生4人に痺れました! (3月17日 2時) (レス) @page4 id: 122d3150cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:肺の燻製 | 作成日時:2024年3月16日 18時

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