興味 ページ40
中学バレーの全国大会の会場が東京だった。
目新しい優秀な人を探しに、敵情視察も込めて
ゲームをしていた研磨を連れて二人で来た訳だが。
｢·····あの千鳥山？の3番、多分だけど頭脳派だと思う。合言葉でスパイクを打ってるのは分かるんだけど、どれがどれに対応しているのかを探すのにすごく時間かかる。·····絶対戦いたくない。｣
ゲーム画面から目を離してお目当ての人物を見ていた研磨。
｢おーおー、そりゃ厄介だね。｣
月バレに載っていた。
そこに全国に出ると書かれていたから探しに来た。
“新星ナツメ”くん。
ーー
見ていた試合が終わり、通路を歩くと向かいからちょうど彼が歩いてくる。
｢あ、ねぇ君。｣
｢あ、はい。なんでしょう？｣
俺とほぼ変わらないんじゃないかという身長。
｢新星ナツメくんでしょ、俺は音駒高校2年の黒尾鉄朗。こっちも同じく音駒高校1年の孤爪研磨。ちょっと君とお話したくてね、声掛けちゃいました。｣
彼は特に警戒する様子もなく
｢あ、はい。黒尾さん、孤爪さん。俺は千鳥山中3年、新星ナツメです。·····それで、お話とはなんでしょう？｣
サラッと自己紹介。
本物の人格者なんだね、きみ。
｢あぁー、すみませんね、お時間ないのに。じゃあ2つだけ。｣
｢エースって辛くない？｣
｢·····そうですね。苦しい時はあります。答えになりましたか？｣
変わらない表情で月バレに載っていたことと同じ言葉を繰り返すナツメくん。
｢うん、大丈夫。もうひとつ、·····
ボールに託された思いが重いほど、そのボールは禍々しいものに俺は感じてしまう。
聞いてみたかっただけなんだよね。
本物のエースってどう思うのかってこと。
｢感じますよ。神にだって縋りたい時もあります。
でも結局、俺も誰かに期待するし、誰かを信じてます。
同じことをしてる分、同じことが返ってきてるだけだと思います。｣
月バレに載っていたままの言葉。
文字をなぞったような、自動音声に読ませているかのよう。
｢·····話に割り込んでごめん、俺もひとついい？｣
｢どうぞ。｣
研磨が割って入ってきた。
｢なんで君は自由に拘るの？｣
月バレになかった質問だった。
｢·····｣
初めて、ナツメくんが言葉に詰まった。
｢檻の中って狭いんですよ。
···次があるので、失礼します。｣
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肺の燻製(プロフ) - 703さん» 703様からのコメントに作者の私の心もしっかりと鷲掴みされてしまいました。コメントありがとうございます。ぜひこれからも楽しんでいただければ幸いです。 (3月17日 13時) (
レス) id: f1877497e8 (このIDを非表示/違反報告)
703(プロフ) - コメント失礼します作者様の巧みな文字の動きに毎回心を鷲掴みです！ワクワクが止まりません！新星くんがとってもカッコよくて安定感を持っていながら南くんや東くんなどのキャラもしっかりと作り込まれてい応援が止まりませんとくに最新話の2年生4人に痺れました！ (3月17日 2時) (レス) @page4 id: 122d3150cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：肺の燻製 | 作成日時：2024年3月16日 18時
