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転生 ページ38

白鳥沢に追いつかれた4セット目。

もうリードはない。


フラットに戻った最終5セット目。

2-2の最終セット。

ここで終わり。
どちらかが上へ行く。
どちらかは敗北を噛み締める。


心はセロハンテープで補強したような状態。
それでも戦わなければならない時もある。

いつでも万全な状態で戦うなど無理な話。
ある意味フェアな話でもある。

ーー

7-7

どちらも得点を許さず、苦しいラリーが続く。

10-9

リードをなかなか取れない。
いたちごっこが続く。

13-14

ここで離されたら追いつけない。
心も体も思考も疲労困憊。

16-18

士気が下がってきているのがわかる。
俺も南くんもなかなか得点に繋がらない。
ただ必死にしがみついている。


18-18

追いついた。2点を埋めた。
これは大きい。

20-19

先に大台に乗る。
あとはここから·····


24-23

マッチポイント。

士気は上々。
体も思考もボロボロだが、心は悪くない。

筋肉は強ばり、膝は震え、汗は滝のように流れ、
脳みそは集中状態、周りの音も不要な視覚情報も全てシャウト、喉は焼き切れそうなほど熱く、口の中は血の味しかしない。

こんな状態すら心地よく思える。


俺を見よ。


注視せよ。


注目せよ。


刮目せよ。




「“俺”。」




たった一言。
されど一言。

トスは俺を信じて上がってくる。

ブロック3枚。

この壁の向こうに、全国が待っている。


後ろには俺にボールを託してくれたみんながいる。



飛び上がれ。


撃ち抜け。



ドッダァンッッ



壁が目の前にあるのなら

打ち砕くのみ。



フォームは右。

ありったけの余力を
もう次のことは考えず
注ぎ込む。


ゴッッ


当たり方良し。
角度良し。

力の限り、振り下ろす。


俺の目に頂の景色あり。


ドドォンッッ



ピッ!



25-23


宮城の中学バレー部の頂点は千鳥山(俺たち)だ。



「「「「っしゃああああああああああああ!!!!」」」」



3年の4人で抱き合う。


「「「「「うぉおおおぉぉおおおお!!!!」」」」」


遅れて歓声が上がる。



俺はこの日、微かに見えた頂の景色を忘れない。

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肺の燻製(プロフ) - 703さん» 703様からのコメントに作者の私の心もしっかりと鷲掴みされてしまいました。コメントありがとうございます。ぜひこれからも楽しんでいただければ幸いです。 (3月17日 13時) (レス) id: f1877497e8 (このIDを非表示/違反報告)
703(プロフ) - コメント失礼します作者様の巧みな文字の動きに毎回心を鷲掴みです!ワクワクが止まりません!新星くんがとってもカッコよくて安定感を持っていながら南くんや東くんなどのキャラもしっかりと作り込まれてい応援が止まりませんとくに最新話の2年生4人に痺れました! (3月17日 2時) (レス) @page4 id: 122d3150cd (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:肺の燻製 | 作成日時:2024年3月16日 18時

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