閑話 ページ27
もう3年生。夏の大会が終われば受験が待ち構えている。
となれば話は決まってくる。
｢ねぇ、本当に烏野に来る？｣
｢…どんだけ俺、信用無いの？｣
チャットでも週1で聞かれ、その度に同じ答えを繰り返す。
｢行くって、その代わりお前が楽しませろよ。｣
｢……頑張る。｣
｢おや、珍しい。｣
｢何。｣
｢いいえ何でも。｣
怒らせる前に引くのが大事。
｢ナツメって将来どうするの？｣
｢バレーを続ける。｣
｢…なんで？｣
｢俺のやりたいことだから。｣
｢そんなにバレー好きなの？｣
｢好きだね。最高に好き。｣
｢なんでそんなに本気になれるの？｣
｢本気でやった方が楽しいから。｣
｢疲れない？ずっと本気って｣
｢疲れるよ。でもそれすらもどうでもいいと思えるくらい好き。｣
｢理解できない。｣
｢そりゃ、自分がまだ知らないこと、、やった事ないことは理解できないさ。｣
やってみたら案外楽しいよ、蛍。
｢自分の知らない感情を理解することなんて出来ないさ。｣
きっといつか理解出来る。
｢俺を烏野に誘ったなら、本気でバレーしないと怒るぞ？｣
まぁ本気になるか、ならないか、なんて結局本人次第。
面倒臭いし大変だし、何より疲れる。
それを咎めるつもりは無いけれども
例えばだけど本気をバカにするような、冷めた目で見てるようなら話は違うよね？
俺はバカ真面目にやることの楽しさを知っている。
全ての物事が楽しい訳では無いけれど、楽しめるように自分で工夫する楽しさも知っている。
ーーー｢本気でバレーしないと怒るぞ？｣
なんて、蛍に本気でバレーをして欲しいというただの俺の願望であり期待。
勿体ないと思ってしまう。
はちみつ色の瞳は下を向いて、俺を見ない。
まだ、今じゃない。
そう思い俺はアイスコーヒーを流し込んだ。
ーー
｢僕のこと、忘れないでよね。｣
相変わらず俺の最寄りに着く前に、その話をする。
決まって俺はこう返す。
｢忘れないよ。｣
お決まりのセリフに安心するのか、少し微笑む蛍。
それを見て安心する俺。
変わり行く日常で、変わらない言葉。
それは確かに今存在している。
俺は忘れない。全て覚えている。
思い出は胸の中でずっと暖かく俺を守ってくれる。
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肺の燻製(プロフ) - 703さん» 703様からのコメントに作者の私の心もしっかりと鷲掴みされてしまいました。コメントありがとうございます。ぜひこれからも楽しんでいただければ幸いです。 (3月17日 13時) (
レス) id: f1877497e8 (このIDを非表示/違反報告)
703(プロフ) - コメント失礼します作者様の巧みな文字の動きに毎回心を鷲掴みです！ワクワクが止まりません！新星くんがとってもカッコよくて安定感を持っていながら南くんや東くんなどのキャラもしっかりと作り込まれてい応援が止まりませんとくに最新話の2年生4人に痺れました！ (3月17日 2時) (レス) @page4 id: 122d3150cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：肺の燻製 | 作成日時：2024年3月16日 18時
