転生 ページ22
｢…ぐｯ…ぅ痛ｯ…てぇ……｣
それもそうだ。
右足を痛めたまま全力で飛んだのだ。
たった1回、…されど1回。
｢新星！！｣
｢新星くん！？｣
｢おいっ、誰か！！！｣
南くん、東くん、北斗くん。
声は聞こえてるよ。
でも返事するほどの余裕など一切ない。
嫌な脂汗が流れ、右膝は他のどの部位よりも熱を持っている。
ひんやりしていた床すらももはや熱を持っているように感じる。
すぐさま持ち寄られた担架に乗せられ、
体育館を後にする。
｢おい、…負けんなよ。｣
右膝の痛みで意識を支配されようとも、
心では勝ちを望み続けている。
悔しい。こんな怪我で退場なんて。
｢お前たちなら、…ぜってぇ勝てるから。｣
それだけ言い残して、俺は医務室へ。
そしてそのまま病院へ連れていかれた。
ーー
｢あー…これは｣
鎮痛剤が効いて、痛みが落ち着いた頃に、
先生のお話を聞く。
｢ギリギリ捻挫ですね。｣
レントゲン写真を眺めながら言う。
いやめっちゃ痛かったけど。
本当に捻挫なの？捻挫ってあんなに痛いものだっけ？
｢無理やり動いたせいで、あと少しで靭帯いってましたよ。｣
冷たい目で先生が見る。
いやぁ心当たりですね。
えぇ、心当たりしかないというか。
足首をちょっとだけ捻ったみたいな感覚ですぐ治るかなみたいな、ね？
前世ならすぐ動くのやめてましたよ？
今はまだ若いしとか思って、ね？
若さの暴力ですね、過信しました。
｢…すみません。｣
｢痛みが収まるのに2週間。完治は3週間と言ったところですね。｣
先生が俺の顔をじっと見た。
｢中学生に対して冷たく、言い方も悪いですが……選手生命を潰してもいいなら動いてもいいですよ。ただその足で全力を尽くす等、鎮痛剤だけでどうにかなるとは思えませんけど。｣
かしこまりました先生。
怪我してる時は無理に動かないことがお約束ですね。
俺休む時は休む派なので、大丈夫です。
冷たくて本当のことしか言わない先生。
今より未来を選んで欲しいと深読みしました。
｢今も未来でも、納得できる賢い選択をしてください。｣
｢…ありがとうございます。｣
サポーターをもらい、付き添ってくれた顧問の先生に会場へ戻りたいことを伝える。
｢絶対安静だからな？｣
｢足を痛めても、声を出すことは出来ます。｣
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肺の燻製(プロフ) - 703さん» 703様からのコメントに作者の私の心もしっかりと鷲掴みされてしまいました。コメントありがとうございます。ぜひこれからも楽しんでいただければ幸いです。 (3月17日 13時) (
レス) id: f1877497e8 (このIDを非表示/違反報告)
703(プロフ) - コメント失礼します作者様の巧みな文字の動きに毎回心を鷲掴みです！ワクワクが止まりません！新星くんがとってもカッコよくて安定感を持っていながら南くんや東くんなどのキャラもしっかりと作り込まれてい応援が止まりませんとくに最新話の2年生4人に痺れました！ (3月17日 2時) (レス) @page4 id: 122d3150cd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：肺の燻製 | 作成日時：2024年3月16日 18時
