田中 ページ10
田中は五条にメールをしていた。
時間が空けばすぐに携帯を開き、センター問合せ。
返信が遅れると申し訳ないのと、
返信をしないと五条からたくさんのメールが届くからだ。
すると突然、携帯が震える。
『あ、五条先輩?どうしー(「今日の夜帰ってこいよ。先輩命令だ。じゃあな。」え!ちょっ!切られたっす…』
『無茶振りがすぎるっすよ〜』
そう言いながら顔は笑っている。
『でも先輩が言うなら仕方ない、やるしかないっすね〜』
田中の目の前には廃ホテル
昔はさぞ豪華絢爛だったのだろう。
面影だけがそこにはあった。
『ホテルって広いから探すの大変なんすよね〜』
関節を鳴らし、準備運動をする。
任務はここと、あと2箇所ある。
詰め込めば日付変わるギリギリには帰れるだろう。
『呪力を広げるの苦手なんすよねぇ…』
そう言いながら呪力を薄く水面に広がる波紋のように、薄く伸ばして広げる。
『んー、見つけたっすけど、…
多分向こうも気づいたって感じっすね、…』
とりあえず、で体は動く。
彼女は運動が得意な方だ。
瞬間的スピードも、持続できるスタミナも充分にある。
ある程度のスピードを維持して走るなんてお手の物。
奴がいるのは最上階。
廃ホテルなんてエレベーターなど止まってる。
彼女は頭に叩き込んだホテルの見取り図を頭の中でマップ化し、自分の位置を正確に捉える。
階段まで行くとひとつ飛ばしで駆け登る。
『全くなんで呪霊ってやつは上に行きたがるんすかね。』
そんなことを呟きながら。
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作者名:肺の燻製 | 作成日時:2023年10月29日 21時