高専生田中の日常

田中 ページ5

【人間、貴様は呪術師か？】

『まぁそうなるっすね！』


にかーっ！ともう薄暗い廃病院を照らすんじゃないかってくらいの笑顔を呪霊に向ける。



その気配、特級。



『いやめっちゃ探したっすよー？』


パキパキと指やら首やらの関節を鳴らす。




『あんまり探すのって得意じゃないんすよね〜』


鬼ごっことかなら得意なんすけど、
と言いながら準備運動をする。



『さて、やりますか！』
【そう、そう来なくちゃだな。】


ーーー



呪霊が術式を使う。

【水泡術式・冠】


それはイメージをするなら水に物を落とした時の波紋。
そしてそれを言語化するなら


衝撃波。



それを田中ソラは呪力を纏って防ぐ。



その時に役立つのは鍛え上げたふくらはぎ、ブレーキの筋肉だ。


少し腰を落とし、体重を足に集中させ、
不動を実現する。



『いい術式っすね！こっちもやっちゃうっすよー！』




田中ソラの呪力の流れが変わる。


意外にして、田中ソラは秀才であった。
勉学においても、体術に関しても、呪術にしても


並々ならぬ努力を重ね、書いて、聞いて、知って、調べて、動いて、感じて、考えた。



『領域展開・誰ガ為ノ物語(だれかのおはなし)』


気付けば田中の手には分厚い、六法全書にも引けを取らない分厚い本があった。


それは風の戯れか、はらりはらりと頁をめくる。



『ペンタメローネから日と月とターリア(いばら姫)』



本日の物語はいばら姫。

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