田中 ページ26
領域が解けた。
立っているのは田中。
「田中!!!!」
2人で駆け寄る前に、田中は倒れた。
呼吸も浅く、体も熱いが汗がない。
家入さんから田中が反転術式を使えるのは聞いていたが、
使った気配がない。
血は流れ、服のあちこちが破け赤くなっている。
これはまずい。
2人は田中の様子を確認するや否や
七海は田中を抱え走り出し、それよりも早く灰原は扉をや足場を確保するため先頭を走り出した。
2人の連携は生きている。
少し走ったあと、
「灰原!上着を田中に!!!」
七海が珍しく声を上げる。
体温が下がってきていることに気付いたのは抱えてる七海だった。
「田中!!」
灰原が急いで七海の位置まで戻り、上着をかける。
七海が灰原の上着で田中を包むように抱え直し、
それを見た灰原はまた先を走る。
七海もそれを追うように走る。
「補助監督さん!出して!!!」
灰原が助手席に飛び込んだと思いきや、
七海が田中を抱えたまま後部座席に飛乗る。
「早く出してください!!!」
七海が声を荒らげたことにより、急を要することなんだと認識し、何も聞かずに車をだす。
七海はゆっくり田中を寝かせた。
その手にはべっとりと血に濡れている。
どれだけ無茶をしたんだこの人は。
とにかく早く家入さんに見てもらおう、
そしてこのことを五条さんに、、、
と考えたところでヒヤッとした。
田中は五条さんのお気に入り。
自分たちのせいでは無いとはいえ、
つい先日も怪我をして五条さんは気持ちが死んでいた。
そう考えると今回はかなりやばいだろう。
七海は考えることに疲れ、ため息をつく。
ここからはまた忙しくなりそうだ。
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作者名:肺の燻製 | 作成日時:2023年10月29日 21時