田中 ページ17
太く長く両手で抱えなければならないほどになった如意棒。
呪霊ごと月突き当たりの壁にめり込んでいる。
『縮めっす、如意棒。』
それを合図に如意棒は元の大きさまで戻ると
呪霊は力なくその場に倒れる。
それを見た田中はゆっくり近づき、
『ごめんっす、』
黒閃
呪霊は粉々と、姿を消した。
そして田中は壊れていない壁に背を預け、しゃがみ込んだ。
『これ、五条先輩怒るっすよね、』
ふと握りしめた血のついたマフラー。
『お詫びは何がいいっすかねぇ』
そう言って、立ち上がり呪霊を探す。
ーーー
ーー
ー
『もー、やっと見つけたっすよ』
覚束無い足取りで、やっと見つけた。
『もう自分動くの限界なんすよ、
だから少し乱暴するっす。』
『ごめんけど、大人しくしててくださいっす。』
田中の手には六法全書並の分厚い本。
『術式反転』
田中が持っていた本が
白紙のページを見開く。
『
そして現れた羽根ペンを執り、
自身の左指に突き刺す。
『ーーーこれは
どうか安らかな眠りが訪れますように。』
そこに記す文字は決まっている。
たった一言。
『【
文字が刻まれた後、
その本は呪霊を凄まじい勢いで吸い込む。
吸い込み終わると、その本は閉じた。
この術式反転は、呪霊より自分の呪力が多くないと使えない。
もし仮に呪霊より呪力が少ないと、自分が吸い込まれてしまう。
終焉の先の物語は、逝った者にしか分からない。
どうか安らかに眠れるように祈ることしか出来ない。
『っ、やっぱりこれ、めっちゃ呪力使うっすね、、…。』
ふと体の力が抜ける。
もう帳は晴れた。
夕日が差し込み、田中を照らす。
体調不良、出血による高熱、過度な呪力消費
もう倒れる条件は揃っていた。
『先輩、すみませんっ…』
しかしながら、田中の世界は
暗転。
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作者名:肺の燻製 | 作成日時:2023年10月29日 21時