高専生田中の日常 (ページ16)

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田中ページ16

回らない思考の中、急いで反転術式を施すも赤血球は戻らない。

貧血は続く。

『ーはぁっ……誰ガ為ノ小物語(だれかのこばなし)・頁(ページ)・三匹の子豚(さんびきのこぶた)。』

それは術式展開ではなく、術式発動。
その術式は自分を煉瓦で守る防御術式。
レンガの壁の奥で、田中は膝をつく。

田中は回復に一時専念するようだ。

それと合わせて思考も落ち着かせる。
襲撃に怪我、田中と言えど思考はもうパニック状態である。

『出血は、…止まったっす。負傷部位も治した、あとは払うだけっすね。』

もう油断はしない。

視界はあてにならない。
未だに揺れ回っている。

視界に頼らず、聴力に集中する。

ゆっくり立ち上がる。

『三匹の子豚、読破。』

煉瓦の壁を解除し、呪霊と向きあう。

『次はこっちが攻撃する番っすね。』

そう告げる顔にいつもの笑みは無い。

『誰ガ為ノ小物語(だれかのこばなし)・頁(ページ)・西遊記(さいゆうき)・孫悟空の如意棒(そんごくうのにょいぼう)。』

田中の手が赤い棒を握る。

それをすかさず構え、唱える。

『伸びろっすよ、如意棒ーー！！！！！』

太く長く、呪霊を押して距離をとる。